低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

外壁の浮き注入工事は本当に大丈夫なのかね

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写真は浮き部の注入工事の写真です。
水切りのモルタル面台がコンクリートから剥がれて浮きが発生しています。
浮いている部分の隙間は0.6㎜程です。

注入しているポンプは自動車などに使うグリースポンプです。
不思議なのですが浮き注入の注入ポンプは全国統一で必ずこのグリスポンプを使用しています。
たとえ丸の内界隈の一流ビルの場合も浮き注入の際に使うポンプはこのグリスポンプなのです。

建築の業者が車両関係のポンプを使うと言うのは本当に不思議なのですがこのポンプ以外には注入できるものはないのです。(関係メーカーも作っていないのです)

グリスポンプは一度の吐出量は僅かに1.44cc(jis規格)です。
一度ハンドルを動かすと1.44ccが隙間に広がっていきます。
小さなスプーン一杯以下程度です。
吐出量が少ない為に出て行く勢いはすごいですよ。
約100kgの押し圧が出ます。(君の若い頃以上だ)

低圧注入工法は1~4Kgの押し圧ですが、これに較べると同じ隙間に樹脂を充填するのにどうしてこんなに圧力が違うのでしょう。
この違いの理由は特にはありません。
ただ単に隙間に樹脂を充填するには穴を空けて押し入れる方法と考えついた結果、身近にあるポンプを使っているだけの事なのです。
何処かの研究者が研究したわけでもなく、昔、誰かがやりだした事がいつの間にか全体に普及してきたと言う事です。

実際は高圧による注入工法では0.6mm以下の隙間には注入は出来無いはずですが(公的によるデーターはありませんが)現実は0.05mm~1mmの広範囲に亘る隙間まで入る入らないに関係なく注入工事は行われているのが現状です。

どんな隙間も穴を空けてグリスポンプで樹脂を押し入れる事ができるのなら、何も低圧注入のような面倒なことは必要がないのではないかと思いますね。

過去の浮き注入工事と言うのは残念ながらこの矛盾のまま施工して来た事は間違いの無い事です。
浮いている隙間が微細の時は高圧では当然樹脂は入りませんから入らない箇所はそのままで埋め戻しをして終わり。
時には高圧で樹脂を押し入れる為に接着していた正常な箇所を押し広げて(共浮き症状)充填する場合もあります。

最近では、これでは問題が解決しないと言う事で浮き部に充填すると言う事ではなく穴を空けた箇所にアンカーピン(固定用のピン)で物理的に固定しょうという方法が普及してきました。
しかしこの方法が全てに普及しているわけではありません。
未だに何が何でも充填するのだと言う共浮きを発生させながらの注入が多くあります。(コストの問題でしょうね)

共浮きをさせながら注入してもタイル等が接着して落下しなければいいのですが。
経験から言えば共浮きの場合は樹脂に圧力が掛かっているわけですから施工後半日、一日経過してから更に浮きが広がる場合が多くあります。

落下による人身事故の予想がある工事についてこんな事でいいのかなといつも不安に思います。

私が施主なら危険を予想できる場所のタイルの浮きの場合は一度剥がして再度貼り直す。モルタルの場合は浮いている部分を剥がし取り再度新しいモルタルを付ける。
下に庇があったり落下しても事故にならない箇所については共浮きしても良いのかもしれません。

壁面の浮きは全体的ではなく殆ど小さな部分がそうですから費用が掛からないように簡単な注入でなんとかとか等考えないで安全は全てに優先すると考えて補修して欲しいですね。

このような矛盾を抱えてきた工事なのにこの30年間で落下事故による死亡事故はほんの数件(九州で1件は確認していますが、他は原因が不明)です。
落下による死亡事故以外ならかなりの件数は発生している筈ですが、それにしてもそんなに多くは無いのはなんとかなっているのでしょうね。
交通事故、犯罪に較べたらたいした数字ではないのでまぁいいかぁ。