低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

外壁タイル浮き部注入工事の基本は

注入に必要な道具

ワンダーガンは切り粉除去の必需品

液漏れ防止のウエスは圧が抜けるまで取らない

都下の郊外のマンションです

ベランダのタイルが一部落下したそうで、剥離以外の浮いているタイルのみエポキシ樹脂で補修します

全面注入でピンニング工法となります

剥がれた部分は在庫のタイルで新しく張り替えています

本来なら浮いている部分も剥がして新しく張り替えるのがベストなのですが一般的にも新築時に焼くタイルの在庫数は限りがあります

今回もすべてを張り替えるには在庫がないそうです

今回は浮いている箇所すべてに全面エポキシ樹脂を充填してタイルを固定します

この仕事は最近は非常に少なくなっています

ひと昔前までは鉄筋コンクリート造りは躯体の上にモルタルで不陸、バリなどを隠すために厚さ20~30㎜厚さを塗っていました

その後型枠などの技術等の性能が上がったためにかなり昔からこのような化粧のためのモルタル塗りは無くなっています

したがってモルタルの浮きと言うそのものが無くなっています

今回のようなタイルの浮き補修がこの仕事の大部分となっています

今回の剥がれたタイルの裏側を見るとタイルには接着剤はしっかりと付着していますので剥がれたのは下地調整のために塗っていた樹脂モルタルがコンクリート躯体から剥がれたのが原因となります

もしもタイルとコンクリート躯体が直接に接着剤で付けてあれば剥がれなかったという事です

本来ならば下地調整の樹脂モルタルは必要がないのですが、コンクリートの打ち放し面には巣穴とか型枠のバリなどが残りますからどうしても下地調整は必要となります

外壁のタイルが剥がれたりするのはその原因はこの下地調整材によるものが殆どで間違いはないと思います

今回は浮いたタイル4枚の真ん中の目地に一穴を穿孔して4枚の浮き部にエポキシ樹脂の高粘度型をグリスポンプで注入をします

最初の写真は使用する器具と道具です

施工手順は

①打診棒で浮いているタイルを探してマーカーをする

②振動ドリルで5㎜径の穴を深さ50㎜として穿孔する

③穴の中の切り粉をワンダーガンで除去する

④グリスポンプでエポキシ樹脂を打診棒で確認しながら注入する

一度のストロークで1.4ccがJIS規格品ですから打診の音が変わったら何回注入したら何グラム必要かが解ります

⑥圧が抜けたらウエスを取ります

⑤全ねじのステンレスピンを挿入し清掃完了です

目地セメントをタイル屋さんが施工しクリーニングしたらすべて完成です

施工については色々と方法があります

今回は広い範囲が浮いていますから一度で樹脂を注入しようとしても施工時の注入するその圧力でせっかく音が変わったのに再度共浮きを発生させます

そのために一日目は真ん中付近とか共浮きが発生しそうな箇所にだけ注入をしておきます

次の日には既に接着剤が硬化していますから、強く全面に注入しても共浮きは防げます

一気に仕事を済ますようなことは考えないで固定しながら施工するという考え方が必要です

この注入工事で注意すべきことは

○ドリルで穿孔した時に切り粉が穴の中に残りますがこれを除去しないと樹脂は隙間には入っていきません

今回は強力なワンダーガンを使用していますがカートリッジタイプのエアースプレーでも除去できますので必ず穴の中は綺麗にして

○注入時に常に打診棒で叩きながらすると確実な仕事ができます

○振動ドリルは大きな音が出ますので必ず事前に入居者にはお知らせをしてくださいまっせ・・怒られるのは職人なのですから

○共浮きの発生は常識ですから必ず併用工法を考えてください

 

まずますの仕事ぶりでした