今週は学校の大規模改修におけるモルタルの浮き部分の補修工事です
築後40年以上を越す建物については躯体のコンクリートの表面に仕上げのモルタルが付着しています
当時はコンクリート成型の型枠の精度が低いために巣穴、不陸が多く発生するためにコンクリートの表面
に左官屋さんがモルタルを30㎜程度の厚さで仕上げていました。
そのモルタルが経日変化をして躯体のコンクリートから剥がれてくるような症状をモルタルの浮き部と言い
ます。
放置してしまうと寒冷地では凍害によってそのモルタルが剥がれて落下するような事にもなり兼ねません
寒冷地でなくても何かの時に剥がれて落下してそれこそ重大事故にもなり兼ねません
この浮き補修の仕事は重大事故防止の仕事であると考えることが正しいと思います
この浮き部の補修工事は一般には1m2当たり9~25個所の穴をあけてその穴にエポキシ樹脂を注入してモル
タルの浮いている隙間を充填します。
この浮いている個所にエポキシ樹脂を充填して固定しようという方法なのです
当然ですが1m2当たり穿孔する箇所が多いほど接着剤は多く入りますからその穴数は多いほどいい仕事
になると考えて間違いはありません。
モルタルの浮いている隙間にすべて接着剤が入ることはありません
隙間には空気があるわけですから穿孔した穴から高圧で樹脂を注入するとその空気は強い力で浮いてもい
ないような正常な個所までもその圧力でモルタルを押し上げてしまいます。
共浮きの症状と言います
現在の浮き補修の方法は穿孔した個所の周り直径100㎜程度でその樹脂量は大まかに30g程度で良しとして
います。
共浮き、落下を考慮して浮き部全面には注入はしないという事なのです
従って1m2当たり9穴の場合と16穴の場合ではその施工単価は16穴の方が遥かに高価になります
我々の見積もりは1穴当たり300円~500円となりますから穴数が多いほど高価になります
最近はこの浮き補修工事は殆どタイルの浮き補修となっています
モルタル仕上げの建物が建て替えなどで無くなってきているのだと思います
タイルの場合は1m2当たり16穴が標準ですが、最近ではこのような決め方ではなく浮いているタイルは全て
1枚1枚に確実に注入するという事にしている場合が多いようです。
押される空気によって共浮きをした場合は樹脂が硬化してから、もう一度浮いているタイルに注入すると
いうような方法をとっています。
事は重大事故防止ですから面倒でも確実な方法がベストですよね
今回は1m2当たり9穴なのですが、事前に物理的にアンカーピンで固定してそして樹脂を注入するという
最も安心な工法となっています。
このアンカーピンは穴に挿入してからピンの脚を躯体のコンクリートに開いて固定します
一度、このアンカーピンで躯体に固定してしまうとその引き抜きの強度は160㎏にもなります
1m2に9穴ですから160×9本=1440㎏となります
樹脂を注入しなくても1m2当たり1,4tの接着力があるので樹脂注入がいい加減な仕事であっても重大事故
にはならないよという方法になります。
費用が高くはなりますが何よりも重大事故防止には近い方法だと思います
我々はそもそもこの浮き注入の仕事は殆どお断りしているのですが、このような方法ならという事で仕事
をさせてもらっています。
この工法はタイルの浮きには向いていません
タイルの場合は基本は貼り替えが正しいと思いますがもっともタイルの真ん中に穿孔すればこの工法も
使えますが意匠とか高価で殆ど採用されていません