低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

テナントビルの笠木の浮き注入

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郊外の駅近くのテナントビルですが築後30年の3階建てのRC造です

改修工事ですが今回の報告は屋上の笠木のモルタルがひび割れたり浮いたりしています

このモルタルの浮き注入の施工です

この笠木はコンクリート躯体の上に厚さ20~30㎜厚さのモルタルで仕上げられています

このようにコンクリートの上にモルタルを塗りつけている仕上げはこの時代の一般的な施工方法ですが、今はコンクリート粗面の上にウレタン防水の塗膜を塗って仕上げる方法が一般的です。

昔は型枠の精度が悪いために表面をモルタルで仕上げる方法が簡単だったのでしょう

今回はこの躯体のコンクリートと浮いているモルタルの隙間の中にエポキシ樹脂を注入してモルタルを固定します。

ひび割れについてはモルタルだけのひび割れなので浮き注入工法で処理をします

浮いている個所を打診棒で探しチョークでマークします

マークした個所に200㎜間隔で直径5㎜深さ40㎜の穴を穿孔します

穿孔した穴の中にドリルで開けた時に残る切粉をエアーダストで除去します

この切粉の除去は一番大切な事です、これをしないと注入する樹脂は浮いている隙間に侵入しません。必要な工程です

次にグリスポンプでエポキシ樹脂の高粘度型を注入します

この時に浮きの隙間が小さくて樹脂が入りにくい時は樹脂の硬さを変えて中粘度型にします。

注入の確認は注入しながら打診棒で打音にて確認します

今回は浮き代が0,5㎜程度なのかグリスポンプのハンドルを7~10回で直径200㎜範囲は打診音が変わります

グリスポンプは1回ハンドルを押すと1.4CC吐出します

10回で14CCとなります

 

定量の計算方法

100×100×3.14×0.5㎜÷1000=15,7㎜2(CC)

公的な建物以外の場合はこんな面倒な計算は必要ありません

注入する時に注意すべきことは樹脂を入れ過ぎない事です

 ハンドルを何回押せば樹脂は直径100㎜程度に広がるかを確認しておくべきですね

グリスポンプの押し圧は100㎏を越しますから入れ過ぎるとモルタルが割れたり壁面ならモルタルとも剥がれて下に落下します

注入の後はSUS304規格の全ネジステンレスピンを挿入してアンカーとします

この方法はアンカーピンニング工法と言います

30年前ぐらいまではこのモルタルの浮き補修の仕事は多かったのですが今はこのモルタル仕上げの建物が無くなってしまっているので少なくなりました

但しタイルの浮き注入はそれに代わり多くなっていますが、色々と見解はあるのでしょうが私はタイルの浮きについてはそのタイルを剥がして新しく貼り替える方が正しいと思っています。

タイルの落下は重大事故に繋がりますから見えない所の接着には不安があります

それに穿孔の際の振動ドリルの音が近所に迷惑となりますからね・・・・