ひび割れ注入工事を生業にする職人さんに伝わったのでしょうか
ヤフーブログからこちらのブログに移転したら訪問客も極端に少なくなって寂しい限りですが・・・今年も残り3日間で終わりとなりました
このブログはコンクリートに発生するひび割れを強力な接着剤で強度を元通りにする低圧注入工法の方法と全国においても数少ない低圧注入工法を生業としている職人さんに見てもらうと言う目的で書いています。
ベテランの現場の監督さんの中には、鉄筋コンクリートに発生するひび割れは宿命的なものでそんなものは気にすることは無いよ・・・・
なんて話をよく聞きます。
確かに建築して引き渡してすぐに微細な(0.2~0.5㎜幅等)ひび割れがあったとしても直ちに建物の構造に何か影響するかと言えばそうではありません
ではひび割れごときはなんにもしなくてもいいかと言えば必ずしもそうではありません
私はひび割れに対して次のようにお客さんに説明しています
確かに直ちに急いでひび割れの補修は必要はありませんが、例えばハイキングで山登りをした時に途中で小枝で足のふくらはぎ等に切り傷を作ったとします
こんな場合もひび割れと同じように確かに小さな痛みはありますが登山を中止するまでもなく放置してもすぐにはどうってことはありません
登山を続けて家に戻ってもどうってことないからとそのままに放置したとします
しかし長い間放置してしまうと運が悪ければその傷口から黴菌が入り込み傷が大きくなります
更に放置していれば破傷風になったりと更に大変な事になってしまいます
コンクリートに発生するひび割れも同じように放置してしまうとひび割れから湿気、空気(酸素)が入り込み内部の鉄筋を腐食させてしまいます
つまり鉄筋がセメントの中にくるまれているとセメントはアルカリ成分ですから鉄筋が酸化して錆る事もありませんがひび割れから侵入してきた湿気、空気によってその付近はコンクリートの中性化が始まります
中性化すれば鉄筋はすぐに錆びてきます
錆びるとその付近のコンクリートは脆弱層となり強度が無くなってきます
更に時間が経つと鉄筋が膨張してコンクリートは爆裂を起こしてその付近の弱くなったコンクリートが固まりとなって剥がれて落下します。
ひび割れを見た時にひび割れから白い色のものが流れた跡がある場合はセメントの石灰がいわゆる遊離石灰として流れ出している時です
ひび割れから茶色の色のものが流れ出しているのは内部の鉄筋が錆て錆汁が流れ出しているのです。
この場合は内部は既に中性化となっています
このひび割れ補修を低圧注入工法で必ず補修するのは殆ど公的な建物なのです
何故民間の建物はこの工法で補修しないのかと言えばそれは予算と現場監督さんなどの
ひび割れに対する知識が殆ど無いという事だと思います
公的な建物の場合は設計事務所の判断とか国交省の改修工事の共通仕様書にひび割れの改修方法を細かく書いていますから現場ではちゃんと予算取りをしてこの低圧注入工法を指示して施工しているのです。
民間の場合はお施主さんが余程勉強していれば直接我々の所へ連絡して施工を依頼するという事がありますが一般的には工務店さんへ丸投げですからひび割れ程度は表面にシーリング材などを塗りたくって終わりにします。
ですからマンションなどの壁にミミズが這った跡のような染みがあるのは表面にシーリング材等を塗っただけですからその部分にムラ(ブリード)が発生しているのです
トンネルとか橋梁そして公的な学校とかのような場合には殆ど低圧注入工法で施工しますからひび割れ補修の跡はほとんど見られません
来年はこの低圧注入工法を生業とした職人さんたちが増えるとこのひび割れについての正しい考え方もその補修方法ももっと普及するのですが
写真は住宅メーカーが施主に支持されて住宅のべた基礎のひび割れを補修してみ強度をひび割れる前に戻しています。
フロッグ(低圧注入器具)でひび割れの中にエポキシ樹脂を注入しています
参考ですがコンクリートの引張強度は40~50㎏/cm2 エポキシ樹脂は70~90㎏/cm2
わかりやすく㎏で書いています。