低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

低圧注入も場所によっては中圧が必要なのです

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写真は商業ビルの耐力壁のひび割れ注入です。

この部分のコンクリートの厚さは300㎜もあります。
しかも切り付け部分のひび割れには水圧が掛かっています。

このような条件の場合は次のような対策が必要です。

まず、注入する樹脂は低粘度の水中硬化型の樹脂が必要です。
水中硬化型のエポキシ樹脂はその需要が少ない為に残念ながら超低粘度型の樹脂はありません。

従って、残念ながらひび割れ幅が0.3㎜以下のひび割れ幅には奥のほうまでの注入は期待できません。
その場合の対策は前回報告したように導入路工法が最適だと思います。

次に樹脂の注入は低圧ではなく中圧の押す力が必要です。
このように水圧、コンクリートの深さの条件では低圧の力では低粘度の樹脂を奥まで注入する事ができません。

次は、フロッグの取り付けは注入時の圧力に適応するように普段の場合より強固に取り付けなければいけません

この3点が確実な注入には不可欠なのです。

二番目の中圧という力は10㎏(押す力)~50㎏程度と私が独断で決めています。

既存のポンプで高圧ポンプと言うと100㎏以上の押す力がありますから中圧といえばこの程度ではないかと思います。

フロッグの場合はタンクの中に限界まで樹脂を入れるとその時に発生する空気圧は最大30㎏までも上がります。
空気圧を利用した低圧注入器具はこの中圧を作り出すのは簡単にできる筈です。

輪ゴムの収縮力とか風船の収縮力を利用している低圧注入器具ではこんな圧力は作れません。

この場合での施工の大切な事はいかにしてフロッグの台座を強固にひび割れ上に取り付けるかということです。

フロッグの場合は水中では台座の引っかかりを作るために直径20㎜程度の円形の穴をひび割れの上に作ります
そして、フロッグの台座は薄く柔らかいのでハサミで台座を四角に切ります。
このときのサイズは四角の角部分が20㎜に引っかかり固定できる程度の大きさに切ります。

フロッグが穴に固定できたらこの周りを急結セメントで埋めてしまいます。

これでセメントが固まると50㎏以上の圧力にも充分に耐える事ができます。

注入は水中硬化型の樹脂を思い切りフロッグのなかに注入します。

このようにすると、今までの経験ではひび割れ幅が0.4㎜以上なら確実な注入が出来ます。


注射器タイプの低圧注入器具、風船タイプの器具の場合はこのような場所での注入はどうしているのでしょうね。

注射器タイプの場合は土木関係のひび割れに使用頻度が多いと聞きますが。
コンクリートの厚さが300㎜とか600㎜とか樹脂を注入するには押す力が中圧程度が必要な場合はどうしているのでしょう。

ひび割れ幅が大きくて(0.5㎜以上)そしてひび割れが乾燥していれば問題は無いのでしょうが・・。

それにしても樹脂の注ぎ足しは必要ですよ。
輪ゴムの戻る力は樹脂が少なくなると押す力は無くなるのですから・・。

フロッグは、器具に樹脂を入れる事によって空気圧を作り出し、そしてその圧力で樹脂をひび割れの中に押し入れるというシステムですが、圧力を上げるためにはポンプで空気だけを注入する事もできます。

フロッグの中に残り少なくなった樹脂を強く押し入れるために空気だけを空打ちすると樹脂は勢い良くひび割れの中に侵入していきます。

そうです・フロッグはこんな風なテクニックも使えるのです。
マニアックすぎて解りにくいでしょうか?。