低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

低圧注入器具の機能

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

今日は市場で見かける各社の低圧注入器具の事について報告致します。

コンクリートの微細なひび割れの中に接着剤を充填する方法は、小さな力でゆっくりと押し入れる方法が

発見されて、今はこの低圧注入工法が常識となっています。

基本的には各社とも1~4㎏の圧力を器具の中に作り出して樹脂を押し入れる方法が殆どですが例外的には

コンプレッサーのホースから圧力を得て注入するという方法もあるようです。

各社の製品の圧力の発生はゴム風船型、輪ゴム型、バネ型、圧搾空気型等の4種類を採用しています

ゴムがいいのかバネがいいのかまたは圧搾空気がいいのかは一概には評価しにくいのですが、決まった幅

のひび割れの中に適合した硬さの樹脂を注入するという事だけでみるとその性能は殆ど変わりはありませ

ん。

実験室で比較試験をしてもさほど違いはないという事です。

低圧注入工法は土木現場から発生したと言うこともあり古くからある器具は土木関連に多く使われていて

新しく出来た器具は建築関連に多く使われていると言う傾向があります。

古くからある器具は樹脂の注ぎ足しとか圧力の調整などには殆ど対応ができません。

新しく出来た器具は殆ど注ぎ足し機能が付いています。

土木の場合はひび割れ幅が大きいのが対象だったのか、工事が大雑把だったのかは解りませんが、何故注

ぎ足し機能が必要がなかったのかは不明です。

ただ単に当時の器具メーカーでは開発できなかったのかも知れませんが。


現在、低圧注入工事の専門店が育たないのはこの土木から発生したという事に起因しているのではと思い

ます。

土木の場合は建築とは違って職種が極端に少ないと言う事と、職人さんは現場に住み込みで現場と一緒に

移動すると言う事があります。

建築のように下請けから孫請けまで色々な専門の職種の人が参加していますが、土木の場合は現場で寝起

きまで一緒と言う限られた人員で工事をします。

低圧注入においても近くの手が空いた職人さんが施工すると言う事だったと思います。

山の中の現場に専門店を呼ばないでも自分達でということだと思います。

だから、器具の性能とか、他社の物との比較などは出来なかったのではないかと思います。

樹脂の注ぎ足しができないで完璧な仕事はできる筈は無いと思いますが、指定された製品だからこれでい

いのだと妥協していたのでしょうか。



写真は国内で出回っている器具ですが上の写真は圧搾空気の力を利用した器具です。
 
最初は超低粘度型の樹脂を入れてから注ぎ足していきます。

もしも、液が漏れるような事があつたら隣の器具から余分に樹脂を入れてフォローする事が出来ます

フロッグはタンクにある緊急ストップ装置に穴を開けると圧力が抜けて液漏れは止まります

圧力も自在に調整できます。

このタイプの器具は専門店及び意識の強い施工店に使われています。


真ん中の写真はゴム風船タイプの製品です。

細長い器具は比較的新しく造られた製品ですが注ぎ足し機能は付いていません。

メーカーでは注ぎ足しはできると言いますが、注ぎ足しのために器具を外したら途端に樹脂が漏れてきま

す。

溢れる台座の注入口に爪楊枝(?)を詰めなさいと言っていますが・・・。

こういうのは注ぎ足しはできないと言うのです。

他の丸い器具は注ぎ足しはできます。

樹脂を入れすぎると破裂しますので入れすぎないように注意が必要です。

中圧のように強い力は出来ない。


下の写真は注射器タイプです。

勿論注ぎ足し機能はありません。

この製品の代理店などは注ぎ足しするという事を勘違いしているようです。

私が指摘している注ぎ足しが必要と言うのは、ひび割れは幅が一定ではないので硬さの違う樹脂を注ぎ足

すということが大切と言う事です。

この器具は他の器具よりも大きくて一度に沢山の樹脂を入れる事が出来るので注ぎ足しは必要がないなん

ていいます。

そうではないのです。

超低粘度型を最初に注入することによって接着性の向上、滑りの向上、更には途中から小さくなっている

幅の箇所にも確実に侵入できる事。

更には広い幅のひび割れに通常使われている低粘度型だけでは樹脂は時間と共に流下(下に垂れてしま

う)してしまいます。

このような場合は硬い樹脂を注ぎ足す事が必要なのです。

現場で実際に施工すると直ぐにわかりますよ。

国土交通省なんかもメーカーの資料だけを採用しないで自分で実際に施工して勉強して欲しいですね。

話は戻りますが、このタイプの器具は輪ゴムの戻る力でピストンを押して力を得ます。

樹脂が漏れ出したら取り外すか垂れ流しにするしかありません。

取り外したらせっかく入れた樹脂が漏れだしますから簡単には外せません。

天井面の注ぎ足しは殆ど無理

塗装店、防水店などの兼業の人に使われています。

左の器具は最近売り出された製品です。

そっくりの製品造りのこの会社は驚くなかれ国内の上場企業なのです。中国の会社ではないのです。

真似された会社は不愉快でしょうね。

右の製品は知名度が高く兼業の方達に広く使われていますが、その原因は器具1個でも販売するそうです

ばら売りが可能なのです。

注ぎ足しをしない為にポンプも必要はありません。更には再利用も使い回しも出来ます。

注入結果についてあまりうるさくない現場は良いのかもしれませんね。

他の器具は再利用とか使いまわしはできません。

例えば100Mのひび割れがあると通常は器具は400個必要ですが、このような使い回しができる器具の場合

は例えば20個だけを用意して、台座のみ400個を取り付けてその20個を使いまわすと言う方法を聞きます

つまり最初は20個を取り付けて注入し、数分経過したら取り外して他の次の箇所に取り付けて注入する

これを繰り返すと20個で済むと言う事です。

確かに経済的な方法ですが、でもこの方法では不完全な注入になりやすいと思います。

注入する器具は少なくとも5時間以上は取り付けて置かないと樹脂は充分に侵入していきません。

器具を取り付けるのが仕事ではありません。

樹脂を確実に充填する事が仕事の目的なのです。