低圧注入工法は公的に認められて既に20年以上になりますが、未だに確実な工法として普及しないのは何
故。
昨年の秋口に飛び込みで住宅専門の工務店さんから施工依頼の連絡がありました。
住宅を引き渡した直後に布基礎部分のひび割れを指摘されて、直ちに防水業者で注入施工をしたらしいの
ですが樹脂が入っていないと言う事で施主から再施工の苦情があったそうです。
『当店に連絡されたのは何処で調べたのですか』
『いや、お施主さんがインターネットで調べて指示されたのです』
『あっ、そうですか』
『防水店に施工をさせたのですが樹脂が殆ど入っていないとの指摘で、床下の裏側を調べたのですが、ど うも樹脂の気配が無いので専門店に再施工を・・となったのです』
『どんな、方法でしたか?』
『注射器タイプの輪ゴムで圧力をかける方法』
『樹脂は何種類でしたか?』
『一種類だけ』
低圧注入工法が不確実だと言われる典型的な例です。
当店にも年間で4~5件は飛び込みの再施工依頼の相談があります。
この時はお施主さんの建物に対する知識もあり、更には工務店さんに住宅の支払いが止められたと言う事
もありましたから、何が何でも早く補修したいと言う事です。
つまり多少の費用が掛かっても早く処理をするということです。
このような事情が無い殆どの場合は同じような施工を再施工して終わりとなります
建築施工においてこんな風に再施工が頻繁にある職種は他に無いと思います。
そこで、苦情の現場で、何故ひび割れの中に注入が出来ていないのかの具体的な部分だけを報告します。
専門家ではない・・・注入の専門店が少ない為に兼業の職人さんに発注する
せめて国家資格の注入技能士に依頼して欲しいものです。
専門店では樹脂の種類も各種揃えているし、注入器具にしても注ぎ足しができない
器具は使わない。
ひび割れ幅は現場に行って解る事なので現場には数種類の樹脂を用意するのが常識
です。
兼業の場合はいつ来るか判らない仕事のために器具、樹脂等は在庫しないし僅かの
仕事量のために何種類もの樹脂は用意できない。
確認を行わない・・ 施工が終わってから裏側とか漏れている箇所を確認するような事が殆ど無い
職人さんが終わったと言えば終わりとしている場合が殆ど。
今回はこの程度で・・・。