低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

問題山積の低圧注入工法

本当は構造物を守ると言う大事な仕事なのに、この低圧注入工法を専門に生業としている施工会社は殆んどあ
 
りません。
 
全国で10店はあるのでしょうか・・。
 
コンクリートのひび割れについてはそれが発生しているからと言って必ずしも構造物が直ちに重大事故になると
 
いう事はありませんが、知識が無い、経験が少ない、そのような施工店が見よう見まねで低圧注入の施工をして
 
果たして確実に施工できるのでしょうか・・・とてもそうは思えません。
 
 
低圧注入工法は構造物に発生した微細なひび割れの中に強力な接着剤を隙間無く充填して構造物を長期的な
 
劣化から守り、場合によっては構造物を崩壊から守ろうとする大切な工法なのです。
 
そうなのです、補修に於ける他の職種とはその目的が少し違うのです。
 
塗装とか防水の施工とはその持つ重要性は違うと思うのです
 
 せっかく技能士という国家資格まで作っておきながら、生業とする職人さんが殆ど居ないと言うのは何処に問題
 
があるのでしょう。
 
 当店も低圧注入器具を造っている会社ですが、この低圧注入器具、そして樹脂を造っている会社にも大きな責
 
任があると思います。
 
例えばひび割れの幅と注入時の樹脂の硬さには適合性がありますが、これらのメーカーでは勉強不足なのでし
 
ょうかどんなひび割れにも低粘度型の樹脂で対応できると信じているようです。
 
0.7㎜のような大きなひび割れの中に低粘度型の樹脂のみを注入した場合には、樹脂が柔らかすぎるために時
 
間とともに流下(下のほうに流れ出してしまう)してしまいます。
 
ひび割れの中は空洞になってしまいます。
 
微細なひび割れには超低粘度型が必要だし、0,5㎜以上のひび割れには中粘度型の硬い樹脂が必要です
 
これは素人でも理解できる常識なのですが、メーカーによっては10mキットと言う製品を条件なしに販売していま
 
す。
 
このキットのなかには器具と仮止めシール材と低粘度型の樹脂が梱包されています
 
そうです、樹脂は一種類だけなのです。
 
これではひび割れ幅に合わせて施工するのではなくキットに合わせて注入すると言う事になります
 
ひび割れ幅が小さかったり大きかったりしたらどうしているのでしょう・・・。
 
ひび割れの中は決して一定ではありません
 
中には巣穴があるかもしれません,いったいどうするのでしょう。
 
いい加減な、無知な製造会社ですよね・・・。
 
 
 
以下は各社の注入器具の特徴など
 
 
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写真の器具は樹脂の注ぎ足しは基本的にはできません
 
最近になって樹脂の注ぎ足しは出来ると言っているようですが、現場で注ぎ足しをしていると言う話は殆ど聞きま
 
せん。
 
器具本体を台座からはずして再度やり直しになります
 
もともと樹脂の注ぎ足しは考えていない構造の器具なのにやってやれないことは無いという事でしょう。
 
 
例えて言えば・・技術を持たない自動車メーカーが、自動車の床に穴を開けて足踏のペタルを取り付けて、我社
 
の車は自然に優しいエコタイプのハイブリット車ですよ・・・と言うようなものです。
 
下り坂ならやってやれないことは無いよと言う程度と同じのようなものなのです。
 
 
右側の器具は注ぎ足すために器具を取り外すと、先に入れた樹脂は圧力とともに逆流して流れ出してしまいま
 
す。
 
天井面などは押さえていないと樹脂は殆ど流れ出してしまいます。
 
それでも樹脂の注ぎ足しは出来ると言うメーカーのいい加減さが、信頼できない低圧注入工法という風評になっ
 
ているのかも知れません。
 
低圧注入工事の頻度が高い専門に近い職人さんは殆どこの手の器具は使いません。
 
 
左側の器具は右側の海賊版の様ですが、この器具は注ぎ足しのために樹脂が流れ出すのを止める為の弁を
 
台座に付けています。
 
この器具なら作業は大変ですが、注ぎ足しは出来ると言っても問題は無いと思います
 
この製品について協議会では真似た商品だと批判していましたが、特許を取ったとのことですから決して言掛り
 
を付けられることはありませんし、的はずれです。
 
色々な新しい器具が出現するのを面白くないと考えているようです。
 
本来ならば新しい器具が開発され市場に出てきたら、悪口を言うよりもむしろ積極的に入会を勧め業界の発展を
 
図るべきなのですが、現実はそうではないようです。
 
この業界に既得権益などはありません。
 
国土交通省においても決して特定のメーカーの器具を指定すると言う事は殆どありません。
 
器具はシーリングさんで言えば施工するコーキングガンのようなものと考えていて、器具についての指定等は
 
殆ど無いというような事だと思います。
 
但し、設計事務所で図面を書く時に例として低圧注入器具の図をスケッチしている場合がありますが、これとて
 
必ずしもスケッチしている製品が指定と言う事ではありません。
 
 
発注する方は、注入する方策よりもひび割れの中に入る接着剤についての規格のほうが大切なのです。
 
ひび割れの中に確実に充填すると言う事は当たり前のことで、低圧注入の方法であればその具体的な方策に
 
ついては関知しないという事なのだと思います。
 
 
写真の左側の製品は比較的新しい開発商品ですが右側の欠点を利用して作り上げた製品と言えます。
 
このタイプの器具は医療用の注射器と原理は一緒ですから、中粘度以上の硬い樹脂は注入は出来ません。
 
当然、幅が広いひび割れには使えません。                                 
 
丁寧にカタログに謳うべきでは・・・。
 
 
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☆写真の右端のものには注ぎ足しの機能はありません
 
このメーカーでは樹脂を注ぎ足す時に本体を外したら樹脂が流れ出すので『爪楊枝を突こんで』止めるとか。
 
一度使用しても再利用が出来るとか・・・残って固まった樹脂にはゴムが接着しないからとか・・・本気ですか?
 
ゴムの復元する力で樹脂を押し入れる方法ですが、力が小さいために硬い樹脂とかトンネルのように厚いコンク
 
リートの奥まで注入するには力不足となります。
 
 
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写真の器具の押し圧は 1 から最大 30kgまで作り出す事ができます
 
そもそも、器具の設計時に樹脂の注ぎ足しを最大の目的として造っています。
 
注入時に発生する圧搾空気を利用しますから自在に 押し圧を変えて使えます。
 
シンプルな構造で経済的。
 
注入工事を生業にしている工事店、意識のある職人さんはほとんどこのタイプの器具を使用しているようです。
 
自分でまじめに考えて施工するのなら、安くて高機能を選ぶのは当然の事でしょう。
 
2つの製品は高機能で経済的なのにさほど占有率は高くはありません・・・どうしてだと思いますか。
 
 
低圧注入工法を施工している職人さんが兼業の方が殆どなので、機能、価格を比較した事が無い、そして樹脂
 
を注ぎ足す事の必要性を知らない、そして注ぎ足しが面倒だとのことで使われないのです。
 
樹脂が入るとか入らない等は現場ではさほど問題とはなっていないせいなのでしょう。
 
ひび割れの上に器具を取り付ければそれで終わりに近いのです。
 
せっかく国が安全のために少ない予算を削って耐震補強工事、トンネル、橋梁の補修工事を行うのにこんな事
 
でいいのでしょうか。
 
信じがたいでしょうが、新幹線の橋梁のひび割れも、高速道路の橋げたのひび割れも注入工事をしているのは
 
殆ど兼業の職人さんです。
 
例えばタイルを貼る仕事を大工さんが施工しているようなものなのです。
 
元請の会社に一番の問題があるのでしょうが、身近に注入の専門店などはないから仕方が無いよとか・・・・。
 
兼業の職人さんでも注入工事を理解して確実に注入すれば問題は無いのですが、そうはいかないのですよね
 
たまにしかしない注入工事の為に数種類の樹脂を在庫したり、各社の器具を集めて夫々の問題点などを勉
 
強したり等はしませんよね・・
 
たまにしか来ない仕事だもの・・採算が合わないし、面倒だしで。
 
検査もないし、今まで樹脂がひび割れの中に入らなくて全部外に漏れていても合格だったものね
 
 
低圧注入工事の効果を一番信じていない人は実際に施工した職人さんなのです。
 
そして元請の担当者は半信半疑の監督さんが多く、そして発注した施主は注入を信じている・・というのもこの工
 
法の特徴的な現象です。
 
 
どちらにしてもため息が出ますです・・・・・ 対価に値する仕事を第一に考えたいですね。