低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

ひび割れのなかに樹脂が入らない理由は

イメージ 1

イメージ 2

今日は自動式低圧樹脂注入器具によるエポキシ樹脂の注入が不確実で充填されていないと言われているその原因についての報告です。

ひび割れの中に樹脂が入らない理由は、ひび割れた箇所の状況と施工技術によるものの二つに別けられます。

今回は施工ミスによって樹脂が入らない理由を報告します

 1.ひび割れ幅に対して硬すぎる樹脂を使った場合
 
 2.ひび割れの中に巣穴(ジャンカ)等があり注入した樹脂の量が足らない場合
 
 3.器具の使い方が間違っている場合
 
 4.器具の取り付けと仮止めシール材の施工が不良で表面から樹脂が漏れている場合
 
 5.器具の取り付け間隔が広すぎる場合
 
 6.樹脂の注ぎ足しを行なわなかった為に必要な量が足りない

 以上がよくある施工不良の原因です。

微細なひび割れの中に樹脂を小さな押し圧で押し入れるのですからそれにあった方法で施工しないと樹脂は簡単に入るという事はありません。

メーカーによっては素人(経験がなくてもと言う意味)でも施工できるというのは間違いで、確実に完全にひび割れの中に充填するというのはかなりの経験と知識が必要です。

何故、素人(経験がない)でもできるとPRしているのか理由は私も解りませんが、考えられるのは結果が解らない仕事なので適当で良いよという事なのでしょうか。

自社の製品が売れればそれでいいのでしょうか。

でも、そんな売り方をするものだから低圧注入は古くからある工法なのに、高価で不確実な工法だなんて判断されて、年々その需要は減ってきているのです。

本当はひび割れの中に確実に充填できる工法なのです。

真面目に勉強して施工してくれればどうって事のない簡単な工法なのですが。

そこで、正しい注入の方法はこんな風に

 1.器具の取り付けは吐出口を必ずひび割れの位置に設置する事 (ずれると入りようが無い)

 2.シール材は器具の周りとひび割れの上は全てヘラで押さえること (液漏れ防止)

 3.注入開始は必ず超低粘度型の樹脂から行なう (樹脂の滑りと浸透性の効果)

 4.器具の中の樹脂がすぐになくなる場合は次の硬さの低粘度樹脂を注ぎ足す
  更にすぐに減る場合は次の硬さの中粘度型樹脂を注入する
  ひび割れの幅によっては最後は高粘度の樹脂までを注ぎ足す。
 
 5.最初に注入した樹脂が30分以上も掛かって無くなるような場合は、これはひび割れ幅に適合した硬さ  の樹脂なので注ぎ足しは同じ粘度の樹脂を注入する。(適合樹脂)

 6.ひび割れの内部の容量までは必ず注入する(容積を大まかに暗算で算出する。ひび割れ幅×コンクリ  厚み×1m)


注射器タイプの輪ゴムで押し入れる器具の場合はこのように樹脂の注ぎ足しは殆どできません。

もともと注ぎ足す機能は無いのですから、どうしても注ぎ足す場合は器具を取り外さなければいけません

但し、圧力を掛けて注入している訳ですから器具を取り外すと台座からせっかく入れた樹脂が漏れだしてきます。

そして壁の表面が樹脂で汚れてしまいます。

この器具の場合は基本的に注ぎ足す事は期待できません。

対価に値する仕事をするにはそんなに簡単ではありません。

いい仕事をしましょう。
いい加減な工事ばかりだとこの業種は淘汰されても仕方がありませんぞよ。


ひび割れ幅0.05㎜~0.1㎜までは超低粘度型樹脂が適合です
  〃   0.2㎜~0.5㎜までは低粘度と中粘度型の樹脂が適合
  〃   0.6㎜~1㎜までは高粘度型樹脂が適合
  〃   1㎜以上は高粘度樹脂型が適合


全ての幅のひび割れに最初の注入は必ず超低粘度型の樹脂を注入する事が、確実に充填できる方法なのです。

最初に超低粘度の樹脂を入れる目的は次の硬さの樹脂を入れるときの滑りを良くすることが大きな役割で

すが、ひび割れの中は、表面の幅よりも狭くなったり、更には微細なひび割れが枝分かれしたりしている

場合があります。

超低粘度の柔らかい樹脂を先行させるとこんな箇所にも侵入していきます。