久し振りに同業各社の低圧注入器具の性能比較を報告したいと思います
この報告は決して他社製品の誹謗中傷などでは有りませんので誤解のないようにお願いします
例えば低圧注入器具は樹脂の注ぎ足しが出来なければ駄目だというような事も、現場のひび割れの状態に
よってはなにも樹脂を注ぎ足すことが必要でないような場合もあり、その場合は注ぎ足しの機能が無くて
も何んの問題も無いわけですから継ぎ足しは必要が無いという事になります。
要はひび割れの中に確実に樹脂が入ってくれれば良い訳で、その目的に沿って話したいと思います
低圧注入工法の最も基本となることは、ひび割れ幅の大きさと樹脂の硬さ、柔らかさが大きく影響すると
いう事を知ってほしいのです。
例えばひび割れ幅が0.1㎜程度の微細なひび割れ幅にエポキシ樹脂で一番硬いグリス状の樹脂を注入しよ
うとしてもそれこそ絶対にひび割れの中には樹脂は入っていきません。
逆に1㎜程度のひび割れ幅にエポキシ樹脂の低粘度型の樹脂を入れた場合は、樹脂は幾らでも抵抗なく入
っていきますが、それは時間とともにひび割れの中で樹脂は流下してしまいます。
ひび割れの中はビンのように底があるわけではありませんから、幾ら大量に樹脂を入れても反対側等へ流
れ出してしまいます。
なんの意味も無いという事になります。
基本的な事は樹脂は必ずひび割れの中で留まってくれなければ、その目的は達しません
そうなのです、ひび割れ幅と樹脂の硬さには必ず適合性があるのです
この事については国交省の共通仕様書にも各社のカタログにも指示はしていません
こんな大切な絶対に守るべき事なのに、その指示も適合表も揃えていないという事がこの業界のどうしょ
うも無い未熟さが見えるのです。
初めての現場なのに一種類の樹脂だけをもって仕事に挑むようなことをしては駄目ですよと言う事なので
す。
例えば1本のひび割れでも、上のほうは0.3㎜程度で真ん中は0.7㎜もあり、床に近い一番下は0.1㎜の幅だ
ったとしたら私なら3種類の樹脂を用意します。
ひび割れは表面で測ったその幅と奥の方とも必ずしも同じではありません
このような場合は最初は超低粘度型の樹脂を注入して次には低粘度型の樹脂を注入しそして仕上げに中粘
度型の樹脂を入れるのです。
必ず柔らかい樹脂から注入するのです
もしも柔らかい樹脂でも時間がたってもフロッグの中から樹脂が減らない場合はそのままにしておきます
更に時間を掛けると隙間があれば必ず樹脂は進入していきます。
中粘度型の樹脂を入れても器具から直ちになくなる場合はもう一つ硬いグリス状の樹脂を注ぎ足してそし
て仕上げとなります。
このような場合にもひび割れ幅×コンクリートの奥行き×長さ=でおおまかな必要な容量を計算してお
くとより確実な仕事ができます。
写真は透明の板と合板の間の隙間を0.5㎜にして真ん中に直径1㎜の穴を穿孔しています
エボキシ樹脂は中粘度型(通称マヨネーズタイプ)に色をつけています
フロッグの場合は超低粘度から高粘度まで樹脂は注入ができますがゴムとかバネで樹脂を押すタイプのも
のは低粘度型樹脂に対応しているために中粘度型の樹脂になると樹脂を押し入れることができません
シリンダー径の大きさと小さな吐出口に抵抗ができて少しでも硬くなると押し入れる力が無くなるのだと
思います。
医療用の注射器にマヨネーズを入れて押し出そうとしても絶対に出ないという原理とおなじ事だと思いま
す。
このような器具を使う場合は予めひび割れ幅が大きいところにはダイレクトに注入ができる台座のみを取
り付けて高圧で注入すると対応はできるのではないかと思います、でも、そんな面倒なことは果たして現
場で施工する職人さんがいるのでしょうか。
今、国内でこのような事を理解して適合した樹脂を正確に確実に注入している現場はどれほどあるのでし
ょうか・・・。
残念ですが、殆ど少ないのではないかと思います。
仕事は将来における重大事故防止のために行うはずなのにこれではあんまりじゃありませんか・・・。
今週はなんだかんだと営業ばかりです。
やっぱ・・現場で這いずり回っている方が楽・・・・。