今回は現場の様子を一休みして、低圧注入工法で絶対に必要な事について報告します
写真は中粘度型(マヨネーズタイプ)をひび割れ幅0.6㎜幅に注入の実験をしている様子です
上はフロッグで下は注射器タイプの器具です。
フロッグはどんな硬さの樹脂も注ぎ足しながら問題なく注入は出来ますが、下のものはこの硬さの樹脂
は注入はできません。
樹脂を強く押し出せないのです。
どんなに輪ゴムで圧力を強くしても中粘度型の硬さはひび割れの中に押し出すことができません。
原因は樹脂の吐出口が小さすぎで抵抗が強くなるからだと思います
シリンダーの内径は30㎜ですが吐出口は4.5㎜ほどしかありません(爪楊枝より少し大きい程度)
医療用の注射器でマヨネーズのように粘るものは出ないのと似ています。
このような継ぎ足し機能のない器具は他にも何社かありますが、このようにひび割れ幅が大きいものだと
か一度の注入では足りない場合はどうしているのでしょう。
低圧注入工法は微細なひび割れの中に接着剤を充填するという事がその目的です
微細なひび割れとは0.05㎜幅から3㎜幅程度を対象としています
但し国土交通省の標準的なひび割れの幅は0.3㎜幅から1㎜幅としているようです
この決まりについてはあくまでも具体的に数値を仕様書に書いてあるわけではなく、例えばひび割れ幅が
0.2㎜以内の場合は摺りこみ工法とか1㎜幅以上は可動が予想されるためにUカット工法だとかその部分に
ついては現場で判断としているようです。
例えばひび割れ幅が0.2㎜であってもその延長のひび割れが0.3㎜幅であれば低圧工法を採用するとか、ひ
び割れが貫通していて漏水していればこれもひび割れ幅に関係なく低圧注入にするとか。
どちらにしても現場の担当で最適なものを選んで決められているようです
低圧注入工法で理解しておく事
1,ひび割れ幅に対して注入する樹脂の硬さには適合性がある事
0.05㎜から0.3㎜程度の幅は超低粘度型の樹脂で無ければ樹脂はひび割れの中には入りません
0.3㎜から0.5㎜幅までは 低粘度型が適合です
0.4㎜から0.8㎜幅までは 中粘度型が必要。
ひび割れ幅が大きい場合は樹脂が柔らかすぎると時間とともに下の方へ流れ出してしまうと言う事があります。
ひび割れの中で留まるという硬さが必要となります
0.8㎜幅以上の場合は一番硬いグリス状のものが必要です。
2,注入は必ず柔らかめの樹脂から始める
表面のひび割れ幅を測って適合樹脂をいきなり入れても必ずしも確実とはいえません
ひび割れ幅は決して一定ではありません。
ひび割れの内部は極端に狭い隙間かもしれません。もしくは反対に大きな巣穴があるかもしれません
注入の最初は必ず超低粘度型の柔らかい樹脂を注入して暫く様子を見ます。
すぐにフロッグのタンクの樹脂が無くなるようでしたら柔らかすぎると言う事ですから次の硬さのものを
注ぎ足し注入をします。
樹脂が殆ど動かない場合はそのままにしておきます。適合なのかもしれませんが一時間もすればその様子
が変わっているのかも知れません。
こんな風にひび割れの中の様子を想像しながら進んでいくのです。
3,ひび割れの中に必要な推定量を注入する
一度の注入で推定量に満たない場合は樹脂は必ず注ぎ足しをすることが不可欠です。
タンクの中が空になつたら樹脂を注ぎ足すと言う癖をつけることが必要です。
4,仮止めシールは必ずヘラで押さえる
注入していてすぐに樹脂がシール付近から漏れ出したら、いくら樹脂を注ぎ足しても意味はありません
樹脂は圧力に押されて進むのです、一旦抵抗がない箇所を見つけたら注ぎ足しても全部その箇所から漏れ
出してしまいます
この仕事で一番難しいのはこの仮止めシールの施工です。
丁寧で確実なシールが必要なのですぞ・・。
気をつけていても漏れた場合はそこを諦めて隣のフロッグから余分に注入してフォローするようにしまし
ょう。
フロッグはこんな場合にも対応できるように設計しています
漏れ出した箇所のフロッグの空気圧を抜いてしまうと樹脂は漏れ出しません。
空気圧を簡単に抜けるようにフロッグのタンクの矢印の突起部は薄くなっています。千枚通し等て穴を空
けて下さい。(緊急停止装置と言います)
フォローした樹脂が漏れた箇所のフロッグに到達したら同じ距離に奥の方にも深く進入しているはずで
す。
合格としましょう。
本日はこれまで・・・・。明日は現場は休みです。