低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

低圧注入に超低粘度の樹脂は不可欠です

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セメントブロックの表面にフロッグを取り付けて超低粘度型の樹脂を注入すると瞬く間に裏側に樹脂は浸

み出してきます。

そうなのです、ひび割れも何んにもないブロックの表面にフロッグを取り付けてそのまんま注入すると、

粗く固められているセメントの隙間を通過して裏側に漏れ出してくるのです。

低圧の力で樹脂を押し入れる能力には今更ながら驚きます。


パーチクルボードという木片(おがくず)を固めた板(机、コタツ等に使われている板)がありますが、この

薄手の板にも同様、超低粘度型の樹脂を注入すると時間とともに裏側に樹脂は浸みて来ます。


当然ですが板にひび割れとか穴を空けていると言う事ではありません、板の上にそのままの状態でフロッ

グを取り付けて注入するのです。


低圧注入工法は樹脂の注ぎ足しが必要だという理由は、このような低圧の能力を最大限に利用して確実な

注入を行おうと言う事なのです。


コンクリートに発生しているひび割れは表から裏までは全て同じ幅のひび割れではありません。

表面のひび割れ幅が大きくても裏側になると非常に小さな微細なひび割れ幅かも知れません。


こんな場合に、最初は超低粘度型の柔らかい樹脂を注入し、そして注ぎ足しは少し硬めの樹脂を注入す

ると、ひび割れ幅が大きい箇所も奥の方の微細なひび割れの中にも樹脂は進入できるのです。


樹脂のそれぞれの硬さは隙間を選ぶのです。(硬さとひび割れ幅との適合性)


先ほどのパーチクルボードもセメントブロックの場合も低粘度型とか中粘度型の硬めの樹脂ではまったく

進入はしません。


ただし、隙間がもっと粗い成型品の場合は低粘度でも中粘度型の樹脂でも浸透はします。



樹脂が柔らかいからこそ、ひび割れが無くても裏側まで侵入して行くのです。


微細なひび割れも、大きい幅のひび割れもいつも同じ硬さの樹脂では決して確実な注入はできません



この超低粘度型の樹脂を使っている職人さんはどのくらいいるのでしょうか、いまだにこのように柔らか

い樹脂があると言う事すら知らない職人さんが多いのにはがっかりです。


これはメーカーに大いに責任があるのだと思います。

低圧注入器具と樹脂を作っているメーカーでもこの超低粘度型の樹脂を造っていないメーカーがあるので

すからあきれてしまいますね。


接着剤には必ずプライマー処理というのがあります。

最初に下地に浸透する樹脂を塗布してから接着剤をつけると、より強固な接着力が得られるために行う処

理方法なのです。

コンクリートの上にコンクリートを打設する場合も下地のコンクリートに水を浸透させるのと同じ理屈で

す。



超低粘度型の樹脂はこのプライマー効果も兼ねているのです。


低圧注入工法の場合はどんな時でも、必ず超低粘度型の樹脂から注入を始めて欲しいのです。


下の写真は高粘度型の樹脂に赤い色付けをした樹脂を注入しています。

圧力と樹脂量の関係を実験している様子です。


取り付けたときにはフロッグの中の空気は満タンの40ccでしたが樹脂の注入で3.6kに空気を圧縮すると

こんなに小さくなつてしまいます。

限界まで樹脂を入れても樹脂はこれ以上は殆ど入りません。

これ以上はこんどは注入するポンプの力がそのまま樹脂への圧力となります。


50kの押し圧があれば樹脂の圧力はそのまま50kの力でひび割れの中に進入します。

当たり前なのですが液体は殆ど圧縮はできませんので高圧を掛けてもそのままの押し圧となるのです。


消防車とか高圧洗浄の水圧は水を空気のように小さく圧縮しているのではなく単にポンプの押す力なので

す。


空気を圧縮すると空気が正常に戻ろうと樹脂を時間を掛けて押し戻します。

ポンプによる水圧の場合はポンプを止めると直ちに押し圧は止まります。


この二つの理屈の違いが低圧注入器具の能力にも関ってきます。

フロッグは空気圧を利用していますが、他の器具はゴム、金属バネ等々で樹脂をポンプのように直接押し

入れる方法です。