低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

ひび割れの幅は一定ではありません

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写真はコンクリートに入ったひび割れの幅をクラックスケールで計測しているところです

このひび割れ幅は表面は0.4㎜ですが裏側は0.1㎜です。

更にひび割れの下の方は0.2㎜です。

コンクリートに発生したひび割れは、このように一本のひび割れでもその幅は大きく違っています。

戸建住宅の布基礎などの場合はもっと極端で例えばモルタル仕上げをしている表側は0.2㎜でも床下の裏

側はなんと0.5㎜というのもあります。


低圧注入工法を年に数回しか施工しない、更には注ぎ足し機能が無い注入器具しか使わない兼業の職人さ

んに聞きたいのですが、ひび割れ幅が極端に違う場合はどうしているのでしょう。


注ぎ足し機能がない注射器タイプで低粘度の樹脂しか注入しない方法でいいのでしょうか。

注入するエポキシ樹脂はメーカーでは超低粘度型、低粘度型、中粘度型、高粘度型とありますが、何の為

にこんな硬さの違う樹脂を取り揃えているのでしょう。


ひび割れ幅と充填できる硬さの樹脂は適合性があるのを知っていますか。

例えば0.1㎜幅のひび割れには低粘度型とそれ以上の硬さの樹脂は注入しても樹脂は入りません。

また、0.5㎜幅のひび割れに低粘度型の樹脂を注入すると樹脂は簡単に入りますが時間と共に樹脂は下の

ほうへ流れ出してしまいます。

コンクリートのひび割れは容器のように底があり密封している訳ではありませんから柔らかすぎた樹脂は

下のほうへ流れ出してしまいます。

注入してもなんにもならないと言う事です。


注ぎ足しをするという事は一番柔らかい樹脂から順番に入れていくということが最大の目的なのです。

樹脂の量を注ぎ足すと言う事もありますが、それよりも大切なのは適合した樹脂でひび割れの中に留まる

ように注入するということなのです。

微細なひび割れの中まで充填するには超低粘度型から順番に注入する事が必要なのです

ひび割れの中は一定ではないから、必ず超低粘度型から入れるように言っているのです。


このような方法を実践しているのは、注入をしている職人さんのなかでも限られた専業をしている方だけ

なのです。

困ったものなのです。


このようになってしまったのはメーカーに一番の責任があるのですが・・・。

今まで問題はなかったのにどうして・・・・・と言う事のようです。

問題はあった筈なのですが、その結果が見えないために素通りしているだけなのです。

知名度の高いビルが地域改造で取り壊されて、壊した後で壁面の浮き注入を関係の方が調査したところ、

注入の穴にピンはあったのに樹脂は殆ど入っていなかったそうです。

予想できます。

ゴンドラ足場で注入したらしいのですが、職人さんが終わりましたと言うのをその後にわざわざゴンドラ

を使って検査なんか殆どしないものね。


こんなんでいいんかい・・・・。


いいんだよ・・・地震がきて倒壊しても原因なんか解る筈無いものね。




残念ですが、殆どの現場では注ぎ足し機能の無い器具を使い、使用する樹脂は一種類だけなのです。

一種類の樹脂がたまたまひび割れに適合していれば問題はないのですが、そんな偶然はあまりありません


国土交通省の共通仕様書にもそのような記載はありません。

もうそろそろ改正を考えて欲しいですね。

民共同研究から既に20年近くも経過して、施工の方法、低圧器具も進歩してきましたからね。

特定の業界団体、特定のメーカーの言い分だけを聞くのではなく自分達自身で研究して理解して欲しいと

思います。

協力は惜しみません。

このままではこの業界は淘汰されるのではないかと不安に思っています。


もっとも国土交通省などは施主の立場になりますから、検査して充填ができていれば良しで、その途中経

過には関係が無いのですが・・・。

全面を検査できれば良いのでしょうが実際には不可能なのです。

そして今の検査方法も果たしてそれでいいのかという疑問もあります。




おやすみ・・・明日は雨。