今週はテナントビルのひび割れ注入です。
築後35年の歴史ある建物です。
一階部分は店になっていますが棚の裏側が0.4~0.7㎜幅のひび割れが発生しています。
今回の地震で建物にひび割れが発生した場合に、よく相談を受けるのは一体どこまでのひび割れを補修す
るのかと言う事です。
本来ならば、お施主さんが気になっているひび割れは全て注入してそして安心をして貰いたいのですが、
当方は良くても費用が絡んできますからそう簡単にはいきません。
費用が許すのであれば今回の揺れで発生したひび割れは殆ど注入をしたいのですが、最少でも建物の構造
に直接係る場所だけはと、注入の補修を勧めています。
壁面であっても耐力壁の場合とか、そして明らかに漏水が発生しそうなひび割れについては勧めます
そして、柱とか梁は絶対に必要です。
今回はひび割れの発生の数量が少ないために、昔からあったひび割れについても注入すると言う事になり
ました。
こちらとしては20M以内のひび割れについては一式工事となりますから、その範囲なら気になるところは
全て注入しましょうとなります。
僅かな1Mの施工も19Mの施工もどちらも同じように3日間は掛かりますからこちらの手間は同じなのです
そうなのです、依頼する方がひび割れがどうしても気になるのならモルタルの表面だけのひび割れであっ
ても、たとえ、建物の強度に全く関係のない箇所であっても注入するのが良いのではないかと思います。
ひび割れを気にして地震のたびに不安な気持ちでいるよりは、ついでに補修した方が精神衛生上も良いか
らね。
多少の数量の増加などはサービスとしましょう・・・。
今回使用した樹脂は超低粘度型と低粘度型そして高粘度型を使用しています
特にひび割れ幅が大きな壁については低粘度型の樹脂を先導注入として使用し、その後は高粘度型の樹脂
に低粘度型の樹脂を10%程度混合して多少柔らか目にして仕上げの注入をしています。
大きな幅の(0.6㎜以上幅)ひび割れには必ず硬い樹脂を注入することは不可欠なのです。
10年一日のごとく低粘度型の樹脂を輪ゴムで引っ掛けて一度きりしか注入しないのでは、対価に値しない
仕事になりやすくなるのではと他人事ながら心配になります。
樹脂は注ぎ足し注入が殆ど必要なのです。
ひび割れ幅は決して一定ではありません。
表面は広くても内部は狭いかもしれません。
ひび割れの中に巣穴があったら一回の注入量では足りません。
最初は超低粘度型を注入し、仕上げはひび割れ幅に適合した硬さの樹脂を注ぎ足さなければ確実にひび割
れの中に樹脂を充填したとは言えません・・よ。