低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

ひび割れ補修の施工要領書

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コンクリート構造物のひび割れの補修工事に於ける低圧注入工法は圧倒的に公共の構造物に多く民間の建

物の低圧注入工法による補修工事の発注は非常に少ないのです。


私共でも工事の受注を比較しても約80%が公共の構造物で民間の建物については2割ほどしかありません


何故なのでしょうか・・・ひび割れた結果は同じなのに・・?


結論から大雑把に言えば、施主の意識の違いがこのような結果になっているのだと思います


公共の構造物の施主は国であり地方自治体がそうですが、民間は当然ですが個人となります。


集合住宅(マンション)の場合は個人の集まりの管理組合となります。


公共の場合は建物の寿命とか補修の方法等については税金を使うということもあって多くの人達が関わっ

て、その方法等については過去に研究をしたものとか新しいものについても色々と意見具申があつてより

慎重に検討するのだと思います。(例外もあるよ)


民間の場合はどうしても予算と言う壁があったり、またその知識があまりないために見積りを出した工

務店のレベルに左右されるようです。


大手の建設会社の場合は内部に技術の研究所があったりしますからこの低圧注入工法についても色々とデ

ーターは持っていてまったく知らないと言う事はありません。

しかし施工の方法を独自に直接現場へ指示するという事はしないようなシステムですから、現場の担当者

が優先ですから必ずしもひび割れ補修は低圧注入工法とはならないのです。


マンションの場合は管理、改修専門の会社が施工する場合が多いのですが、このような会社はいわゆる

建物を造る建設会社とは違います。


マンションの大規模改修工事ではひび割れの補修方法に低圧注入工法は殆ど採用しないという現象はひび

割れについてその補修方法等を熟知している土木とか建築のいわゆる建設会社ではなく、防水とか塗装の

専門の会社もしくはマンション管理をしている企業が立ち上げた改修専門の会社が施工するからだからだ

と思います。


さて、公的な建物の施工を受注した場合には必ずその工事の施工要領書なるものの提出を求められます

以下にフロッグ(低圧注入工法)工法の一般的な施工要領書を報告します


この報告書の目的はひび割れの補修についてどのような方法で行うかと言う事と、その具体的な方法を

詳細に報告しています


そして提出した施工要領書は現場では最優先します

施工方法を書いておきながら『やっぱ、こっち』なんて勝手に変える事はできません


以下は施工要領書の主な部分ですがここでは細かくは報告しません


まず施工する目的は
  
1,ひび割れによるコンクリート構造物の劣化防止
2,漏水補修
3,モルタル、コンクリートの落下等による重大事故防止

となりますが補修する構造物の目的を記入します

本来ならば注入によって構造物を補強しますと目的を書きたいのですが、注入によっての補修は補強には

ならないという事らしいので補強という言葉は使いません。


ひび割れた状態よりも強く出来ると思うのですが補強と言う言葉を使うと必ず異論がでてくるのです



工法は自動式低圧樹脂注入工法 フロッグ工法等々となります




施工手順の手順については以下のようにします


ひび割れ部の確認

汚染防止剤の塗布・・・コンクリート粗面で汚さないことを必要とした場合

フロッグの取り付けとシール・・・漏水防止の場合の間隔は100㎜程度とします

エポキシ樹脂の選定・・・・超低粘度型から注入を始めて適合の樹脂までを注入

注入・・・・必要推定量を事前に記載していてその数量を注入する。

養生

フロッグと仮止め材の撤去

検査

完了

   
エポキシ樹脂の選定(ひび割れ幅と適合する樹脂の種類と製品名)

樹脂の種類によっては製造していない会社もあるので選定には確認が必要

エポキシ樹脂はその販売量が少ないために例え名が知れた会社でもOEMをしている会社が多いのです

エポキシの専業メーカーから供給を受けてラベルだけを貼り替えている会社が多いのです。


今のJISA6024はJISの認定工場でなくても良いのです。


個人の会社がエポキシ樹脂の専業メーカーから購入してラベルだけを貼り替えても公共の建物にも通用し

ます。問題はありません。

但し購入したメーカーには事前に許可が必要です


ひび割れ幅との適合性

0.05~0.1㎜    超低粘度型  低粘度型
0.2~0.5㎜     超低粘度型  低粘度型  中粘度型
0.6~1㎜      低粘度型   中粘度型  高粘度型
1㎜以上      低粘度型   高粘度型

以上が適合ですから注入は必ず柔らかい樹脂から順番に追加注入する事が必要です

樹脂を入れるだけでは駄目なのです、ひび割れの中で樹脂は留まっていてくれなくては何の意味もなくな

ってしまうのです。

ひび割れは瓶のように底があるわけではありませんしひび割れ幅は決して一定ではありません

例えば表面のひび割れ幅は0.4㎜あったとしても奥のほうは0.1㎜幅かも知れません。

ひび割れは何らかの要因で自然に割れるわけですからその幅は決して一定ではありません

ならば微細なひび割れ幅から対応するのはしごく当たり前の理屈だと思います


ですから低粘度型の樹脂は注入は出来るけど中粘度、高粘度型の樹脂は注入は出来ないというような注入

器具は使えないと問題の提起をしているのです。


樹脂が抵抗無くいくらでも入るからと言って沢山注入してもひび割れの中で流下してしまったら殆どは外

へ流れ出してしまいます。


これじゃ駄目ジャン・・・となります



留意点の記載

◇ひび割れを起こした壁面等は裏面まで貫通している場合が殆どです
 注入量によっては裏面から樹脂が流れ出す場合もあります
 樹脂が流れ出して問題がある場合は事前に裏面についてもシールを致します
 
◇注入後の養生期間は器具に圧力が掛かっています
 器具には絶対に触れないような指示等の表示の協力をお願いします

などなど・・・・・。  


フロッグ工法の特徴はひび割れ幅と樹脂の硬さの適合性を詳しく記載しそれを必ず実行しましょうという

事です。