建物の地下部分は基本的には漏水を止めると言う事ではなく、侵入してきた地下水を二重壁の間から建物
の最深部の湧水ピットの釜場に誘導しそこに溜まった水をポンプで揚水して下水道に流すと言う方法なの
です。
そうなのです、皆さんのマンションなども必ず地下部分はこのような構造になっている筈です。
地下室にある駐車場などは壁面は二重壁になっているはずです。
建物の中に侵入してくる湧水を止めると言う事はとても費用と技術が必要なので、侵入してくる水を一箇
所に集めてそして地上の下水道に流そうと言う方法です。
このシステムは古くからある常識的な方法なのです。
そう、常識なのですが・・・。
今回のビルのオーナーさんはそれが許せないと言います。
年から年中コンクリートの隙間から湧水が建物の中に入り込んでくることに疑問を指摘します。
入り込んできた水を年中ポンプで揚げて下水に流すと言う事はポンプの電気代は永久に必要なのかと言う
事と、ひび割れとか隙間から水と共に錆汁が流れているのは鉄筋が錆びている筈、錆びてもいいのか。
この工法はビルの建築の常識なのですが、素人からすればこのオーナーの意見が理解できます。
建物の中に地下水は一切入れないようにする事が正論だと誰でもそう思います。
確かにコンクリートは水の中でも決して劣化が早くなるような事はありませんが入り込んできた水による
湿気とか錆汁とかとても気になりますよね。
水と喧嘩しても勝てないと言う事の結論でこうなったのだと思います。
水の中にコンクリートを打ち込み部屋を作るのですから大変な事は大変なのでしょう。
でもそろそろ建物の中には水を浸入させないというような建て方が普及してもいいと思います。
昔と違って止水の方法も色々と開発されています。そして使用する材料も水の中でも接着する樹脂も色々
開発されています。
それに止水の工事が増えてくると専門業者も増えてくるでしょうし、何よりも仕事が増えてくるとその技
術も格段にあがってくると思います。
技術が上がると言う事はその技術は国力にも繋がります。
設計屋さんいかがですか・・・。
写真は二重壁を作る前の止水工事です。
下の写真は止水した完了の写真です。この上にモルタルを塗り仕上がります。