写真の建物は2年ほど前に改修工事を行った様です。(良く行くお店)拡大すると良くわかります。
ひび割れから漏水していたのでしょうか、ひび割れをUカット工法で処理しています。
改修工事の仕上がりについてはそれぞれの好みがありますから一概に批評はできませんがこんな早い時期
に修理の跡が出てくるのはどうだかな。
ひび割れ発生の標準的な傾向からすれば、この建物のひび割れは一定の方向性がありますのでいわゆる構
造クラックなのではと思います。(臨床医学のように経験から推察)
構造的なひび割れはその方向は荷重、押す力の方に向かっていきます。
この場合には左の方向から何らかの押す力があるのでしょうか。
もしくは建物の傍を電車が通っていますので地盤の揺れが左方向からきているのでしょうか。
補修した跡が時間経過と共に現れてくるのはいわゆるシーリング材のブリードによるものです。
Uカット工法はひび割れの上を幅10㎜深さ10㎜程度に切り込み(溝)をいれて目地状なものを造ります。
その溝にプライマーを塗りそしてシーリング材を充填する工法です。
施工は簡単ですからそれこそ誰でも施工できます。
この工法の欠点は次のようなことです
粉塵災害・・・・・コンクリートを削るのですから集塵装置がなければ粉塵は近所中に広がります。
不確実・・・・・・工法は簡単ですがひび割れの位置はUカットしたその底部分にあるようにカットし
なければいけません
良く見かけますがカットしていくうちに粉塵でひび割れを見失ってひび割れからず
れている場合があります。
そしてひび割れが枝分かれしている箇所は見逃したりしてしまいます。
施工不可の場所・・切り込む回転刃は直径で100㎜です。
床との取り合い部分、サッシの近くなど漏水の多い肝心な所がカツトできません
施工跡の汚染・・・シーリング材の選定を間違うと写真のように短期間で施工跡が黒く変色します
このシーリング材のブリージングについては8年ほど前からシーリング材を造っている各社でウレタンシ
ーリング材のみをノンブリードタイプに切り替え短期間ではこのように汚染はしなくなっています。
ブリードの原因である顔料、BODなどの可塑剤をシーリング材の中から取り除いています。
もしもこのひび割れを低圧注入工法で補修したらどうだったでしょう。
漏水は確実に止まるし、枝分かれしたひび割れの中にも樹脂は侵入しているし肝心のコンクリートの強度
は確実に元通りになります。
ましてや汚れなんかは発生しません。
お施主さんが少しだけ勉強していて、ひび割れ補修の低圧注入工法を知っていたら、こんな事にはならな
かったのにと残念です。
Uカット工法は誰でも出来るからということなのか、作業中に汚れるのに非常に安価なのです。
低圧注入工法の1/3の価格です。
作業する人も汚れて安い価格でするよりも高くて汚れない工法の方が利益は断然上がると思うのですが
好みの問題だから余計なお世話って・れすか。