長年ひび割れ補修を経験していますが、コンクリートに何故ひび割れが発生するのかの原因については
現場で良く質問されますが未だに殆ど解りません。
その原因については100件を越すのではないかと一般的には言われていますが、現場ごとに的確に原因を説明する人がいればそれはすごい事だと思います。
ひび割れの原因は大きく別けると
1.材料、調合に起因するひび割れ
2.施工に起因するもの
3.構造に起因するもの
4.環境条件に起因するもの
等が揚げられます。
1の材料、調合については原因は更に細分化して混和材、骨材、砂、水の量などなどその要因は沢山あります・・
2の施工に起因するものについてもその原因は多岐に渡ります。
初期(著しく早い打設速度、急激な乾燥等)に発生するもの、中期(型枠等の早期脱型等々)に発生するもの、そして長期になってから起因するもの(コールドジョイント、被り厚さ不足など)があります。
更には構造に起因するもの(設計時では解らない荷重、地盤の強度等)があります。
環境については外気温度の変動(温度差によるひび割れ)とか凍害、更には振動なども挙げられます。
こんな風に思いつくままに書いてもざっと50件はあるでしょう。
完成した建物のひび割れを見て即座に原因を当てられるとノーベル賞をもらえるのではないかとおもう
経験からわかるものは開口部のコーナーからひび割れている箇所とか、壁面の場合にひび割れが右とか左とかに全部同じ方向性を持っている場合などですが、これとて正確な解答なのかと言われれば『多分』としか返事は出来ません。
ひび割れの原因を説明するにはこれほど解りにくいと言う事です。
建築にかかわらない一般の人の中には自動車とか耐久消費材と同じような環境で作っていると勘違いしている人が多いのではないかと思います。
品質管理については建築の場合は自動車などの生産と較べると雲泥の差と言えると思います。
団地の中に同じような住宅が並んでいてもその一つ一つの住宅はかなりの違いがあります。
例えば基礎のひび割れについてもひび割れが発生している住宅と全くひび割れが無い住宅が混在しています。
自動車とかテレビなどでは考えられないと思います。
建築の現場でもかっては?(今も)TQCとか色々な品質管理を工場のように行なっていますがその仕組みからしてもとても同じようにはなりません。
現場では元請があり更に下請けがあり更に孫請けまであります。
一つの建物を造るのに色々な会社の色々なレベルの職人さんたちがその時だけ集まって創り上げるのですからとても工場のように一様にはできません。
現場では職人さんの技量の程度が殆どわかりませんが、工場では最初から経験の程度と技量がわかった人員配置をしています。
という事で本日の結論
ひび割れた場合はひび割れた原因を延々と追究するよりもどのような補修方法がベストなのかをお施主さんと共有化する事が大切だと思うのです。