低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

低圧注入が信用ならないって、本当?

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今までにこのブログで報告している不確実な施工が行なわれているという事について、果たして本当なの

だろうかと言う疑問を持つ方に少し説明をしたいと思います。


このブログの目的は現場でよく聞かれる『低圧注入は漏れてばかりで殆どひび割れの中に入らないもんな

ぁ』と言うような低圧注入に不信感を持っている方達に確実な施工方法とその要因等を啓蒙する事にあり

ます。

決して特定のメーカーを悪意で批判したりするものではありません。

批判するものではありませんが、実際に現場で施工した時に職人さんたちが理解しないまま施工をして、

結果、ひび割れの中に樹脂が入らないという事についてはどうしてこのメーカーは指導しないのだろうか

と疑問には思っています。


ひび割れの中に樹脂を入れる仕事なのに、入らないままで終わりましたと工事を完了することについて

こんな事があっていいのかと思います。

たとえ公的な建物でも同じなのですから。

低圧注入工法というものがいずれは淘汰されていくと不安に思うのです。


低圧注入工法を知っていても不確実だからと、ひび割れ補修はUカツトしかしないという建築会社も多々

あります。


特定のメーカーを批判するのではありませんが、誰もが納得できるような施工方法をして欲しいと思うの

です。


例えば写真は剥離性の仮止めシール材の施工でヘラ押さえを行っているところです。

我々はこれは基本中の基本と思っていますが注入専門店以外の職人さんたちは押えないどころか、ヘラさ

え持っていない方達が殆どです。

シール材は確実にヘラで押さえをしないと注入した樹脂は殆ど器具の近くから圧力で漏れ出してきます。

樹脂が表から漏れると言う事はひび割れの中には樹脂は入らないということです。


専門のシーリング屋さんでシーリング材を抑えない人なんて探してもいないでしょう。

シーリング材のように粘性のあるものは上から押えないと下地には確実に接着はしません。

注入で使う仮止めシール材もウレタン、変成シリコーンなどシーリング材と全く同じなのです。


インターネットで工事会社のホームページで低圧注入の写真がありますが、表面から樹脂が沢山漏れてい

る施工写真を載せているのを見ますが、一般的にはひび割れの中に樹脂は入っていません。

但し例外的なこともありますから一概におかしいのではとは言えませんが、常識的には樹脂が漏れる施工

は確実な施工とは言えません。


例えば0.5㎜のひび割れから枝分かれした0.1㎜のひび割れがあった場合に0.1㎜の方を仮止めシールをし

なかった場合に現れる現象ですが、注入で押された樹脂は最初は0.5㎜の方へ侵入していきますがある程

度侵入したら樹脂には抵抗が増えてきます、その抵抗力が0.1㎜に侵入する力よりも多く掛かってきた時

には枝分かれした0.1㎜のひび割れから溢れてきます。

樹脂は0,5㎜のひび割れの奥深くは侵入できないという事になります。

枝分かれしたひび割れも確実に仮止めシールをしなければ不確実な施工になると言う事なのです。


ひび割れが貫通していればひび割れの中が満杯になったら裏側から漏れ出すのが常識です。

貫通していない場合は漏れ出さないで圧力だけが上がるだけです。


表から漏れ出すと言う事はどう見ても仮止めシール材の施工が悪かったのだと思います。

樹脂が漏れてもひび割れの中に樹脂は入っていくのだと思い込んでいるのであれば、常識的にはそうでは

ありません

樹脂は圧力に押されていますからより抵抗の少ない箇所へ行こうとします。

漏れると言う事はその部分が一番抵抗が少ないと言う事です。

何度注入してもその部分にしか樹脂は行きません。

漏れている箇所よりも抵抗があるひび割れの中には決して侵入しません。


我々もどんなに気をつけていても見えなかった微細なひび割れから樹脂が漏れだす場合もあります。

そのような場合こそ直ちに注ぎ足しが出来る器具なら漏れていない隣の器具から樹脂を余分に注ぎ足して

漏れている箇所のひび割れに中からフォローできるのです。


そのためにも注ぎ足し機能のある器具でなければ不確実になるのではないかと言うのです。

注ぎ足しができる器具ならたとえ表から樹脂が漏れていてもさほど問題だとは思いませんが、注ぎ足し機

能が無い器具で沢山漏れている現場を見ると漏れている箇所は樹脂が入っていないのだと思うのです。



低圧注入を実際に施工した方ならこのブログで報告していることについては大方は理解してもらえるので

しょうが、全くのかかわりの無い方達は本当にそんないい加減な工事を公的な建物にも施工しているのだ

ろうかと疑いたくなると思います。

気持は解りますが、現実にはひび割れの中に樹脂は入ったのかどうかは見る事ができません、その方法も

コア抜き以外はありません。

このコア抜きは建物に穴を空ける方法なのですが、後日この部分からひび割れが再発すると言う事もあり

実際には殆ど行なわれません。

それに注入した所を全域にわたって穴を空ける訳にはいきませんから、さほど意味のある検査方法でもあ

りません。


注入した結果が見えない、解らない。

素人に近い職人さんが施工している。

結果の確認検査が殆どない。


建築の業界でもこのような職種は他に無いのです。


防水工事なら雨が降ると結果は解るだろうし、塗装工事なら一目瞭然等々・・・。

低圧注入の工事は結果がどうあろうと施工している職人さんが終わりましたと言えば終わりになるので

す。


結果が解らない工事だからこそしっかり解るように施工しょうよ・・というのがこのブログの言いたい事

なのです。


今日は知人の1級の建築士さんと3時間もこの話しをしていました。

今週は少し暇だったのです。