低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

タイルの浮き注入はこれでいいの

久し振りの更新です。
マンションの大規模改修工事の現場へ応援として入っていたものだから朝早くから遅くまで・・・帰ってきたらとても机に向かう気力が無くなって・・ おやすみ・・。
 
今回の仕事の目的はタイルの落下防止を防ぐ為に行ないます。
 
方法は、タイルが浮いている(接着していない)箇所の近い目地に径5㎜、深さ40㎜の穴を穿孔しエポキシ樹脂を注入してタイルを固定します。
 
施工の方法は色々と意見があっても今回は応援ですから指示通り行ないます。
 
イメージ 1
 
☆ひび割れを削りシーリングを行い更に樹脂
   モルタルで埋め戻しています。
 
☆いずれはひび割れは再発し、補修跡が現
    れます。
 
☆このような方法ではひび割れる前の強度
   には戻りませんが、元請からの指示ですか 
   ら施工する我々は、いかんともしがたいの
  です。
 
 
 
 
イメージ 2
 
☆エポキシ樹脂を注入後、ピン(径4㎜長さ
   35㎜)を挿入しますがまったく意味の無い事
   です。
☆注入はタイルの裏面に樹脂が入る事が目的
    です。
    コンクリート躯体のなかにピンを入れてもあ
    まり意味はない
 
☆一般的に普及している方法なのですがタイ
    ルの浮きには向いていません。
 
 
 
イメージ 3
 
☆タイルの浮いている部分に樹脂はタイルを
   押し広げて侵入します。
   浮いている箇所を更に押し広げるという事
  です。
☆正常なタイルも一緒に押し広げるから共浮
   きは発生するのです。
   共浮きであっても再度注入をすれば完璧に
   接着します。
 
真ん中の金属は足場を固定しているアンカーボルトです。注入には関係なしです。
 
 
 
 
今回の元請の会社は塗装店から改修会社になった会社ですが、首都圏にはこのような専門の工事会社から建設会社に変身した会社が多くあるようです。
 
首都圏のマンションの大規模改修を行っている会社は次のような形態の会社があるようです。
 
デベロッパーが改修工事の目的でつくった子会社
マンション管理会社が改修工事も行っている
塗装屋さんが改修工事会社に発展
防水屋さんが改修工事会社に発展
そのほかにゴンドラ屋さんが改修工事も行っている場合もあります。
 
不思議な事にそのマンションを建てた建築会社、そして大手の建築会社などは殆ど見ません。
 
どうしてなのでしょう。
 
最初に造った当事者ですからそのマンシヨンの事は誰よりも判っている筈なのですが。
更には建物の色々な欠陥等についてはどこよりも研究している筈なのですが。
 
マンションの大規模改修工事でひび割れ補修については殆ど低圧注入工法を行わないのはこのような総合建設業の会社でない為もあります。
 
低圧工法を知らない、価格が高いものは敬遠、などのようです。
樹脂モルタルで塗り潰したり、Uカット工法のほうが安くて判りやすいですからね。
 
このような形態は地方ではあまり見られません。
 
地方では殆どの場合は建てたときの建設会社、もしくは他の建設会社が元請となっているようです。
 
前に、この事について大手の建設会社の担当者に聞いた事があります。
 
次のような事を言っていました。
 
自分達が建てた建物についてはクレームと考えらるところもあり、見積もりをしても価格があわない。
 
改修専門の会社は戸別訪問をして営業しているために大手の建設会社ではその体制がないために競争にならない。
 
大規模改修といっても建物の基礎部分とか根幹の部分は一切改修を必要としない
ので構造となる技術は必要なし。
 
価格は大切ですが安いばかりでは補修の方法に影響します。
 
過去に沢山の実績がありますよと管理組合にPRしても沢山の物件に同じ程度の補修方法では優れた実績とはいえません。