低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

ブロック塀のひび割れの場合

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国道のバイパスに面した場所です。
一般的にはブロック塀のひび割れには低圧注入工法は費用効果の面からあまり採用されません。
今回のケースは非常に珍しいのですが、私自身も一度は施工してみたいと思っていましたから非常に勉強となりました。
 
効果が少ない理由は
   ★ブロックは内部が空洞になっているために接着剤の接着面積が少ないということ
   ★注入する樹脂が大量に必要なので高価となってしまう。
   ★ひび割れを固定するよりも地震などによる倒壊を防ぐ物理的な他の補強が効果的
      等等ですが・・・・。
 
ひび割れの状態は基礎部分のコンクリートが割れている箇所が全てブロックも割れています。
地盤による影響でひび割れたのではないかと推察されます。
もっとも、ブロック塀のひび割れは殆どの場合は地盤の動きだと思いますが・・・。
住宅の基礎と違ってブロック塀の基礎の場合はさほど栗石等を丹念に押さえることはあまりしないようですし
将来のひび割れなんてあまり深くは考えて造らないでしょうし。
 
注入後は塗装仕上げとなるそうなので、仮止めシールはエポキシ系の速乾型を使用します。
完了後の撤去はバーナーで炙りながら削り取っていきます。
 
注入は超邸粘度型を注入した後、グリス状タイプに低粘度型を10%程度混合し少し柔らかくしてから追加注入します。
 
このように現場で樹脂の硬さを調整することについて一言
 
低圧注入工法の基本的に必要な事はひび割れ幅と注入する樹脂の硬さの適合性を知る事です。
微細なひび割れにグリス状のように硬い樹脂は決して注入はできません。
0.6㎜ぐらいの大きなひび割れに低粘度型の樹脂では入るには入りますが時間と共に樹脂は下のほうへ流れ出してしまいます。
せっかく注入したのにひび割れの中は時間と共に再び空洞になっては注入の意味がありません。
 
ひび割れ幅と樹脂の硬さには適合性があるのです。
 
このために、現場で柔らかい樹脂と硬い樹脂を混合してひび割れに適合した硬さの樹脂を作るのです。
 
ある現場で注射器タイプ(輪ゴムで圧力を作る器具)で注入して数ヵ月後にひび割れが再発したことについてその原因はひび割れの中に樹脂が注入されていないことを指摘した事がありました。
現場には数種類の硬さの樹脂を持参するか、もしくは硬い樹脂と柔らかい樹脂を混合してひび割れ幅に適合した樹脂を仕上げに注入すべきだと話しをしたのですが
 
後日その職人さんが、その器具のメーカーの技術者に聞いた所硬さの違う樹脂を混ぜる事は出来ないとの話しだったと私のところへ連絡がありました。
 
それぞれの硬さの樹脂を規定どおり確実に攪拌して混合してそしてお互いを混合してもなんの不都合も無い筈ですよ、それでも駄目と言うのですか・・。
 
そう、駄目だそうです。
 
私から直接、そのメーカーの技術者に問い合わせました。
 
どうして駄目なのですか?
 
いえ、駄目ではないのですが・・・混合した時のデーターを作っていないので。
良いのならそのデーターをよこせと言われた時に会社として困るからできないと言っています。
 
混合しても何の問題もないがデーターが無いので混合しては駄目と言う事にしています・・・との事。
 
ならば、問い合わせてきた職人さんにそのように詳しく説明するべきでは。
 
注ぎ足しが出来ない器具のメ-カーが他の注ぎ足しができるメーカーと対抗する為の方法なの?
 
唖然です。