低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

新年の初仕事は再注入工事

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今年の初仕事は、まだお正月気分の抜けない4日からなのです

現場では監督を含めて3人だけ・・・・・。

さ、寂しいではないか・・。

と言う訳で朝の朝礼は中止です


もっともこの建物は年明けの6日に最終検査で、そして引渡しの予定でしたから、殆どの職方は終わって

しまっているのです。

昨年の末に急遽ひび割れの補修工事を依頼されて慌てて施工したのですが・・。

同じ箇所が再度ひび割れたと言う事で再度施工となったのです。


長さ300m幅70mの巨大な建物ですからその実際のムーブメントは予想ができません

この建物は特殊な構造なのでエキスパンションの筈が実際は繋がっていたりで、兎に角、構造に素人の私

には理解ができません。


昨年施工した速乾タイプの仮止めシール材(エポキシ系)が注入後の1日でひび割れてしまったのはどう

いう動きなのでしょうか。


そこで、再発の原因についてその考えられる要因を考察すると、次のことが挙げられます。

ひび割れたモルタルの下地がブロックであるために、ブロックも一緒にひび割れたのでは・・。

そこに注入したものだからエポキシ樹脂は全てその部分に流れ込んでしまった。


ひび割れ幅1㎜で長さ1.2mに2000ccも注入してもなんら手ごたえが無いと言うのも私の推察はまったくの

『はずれ』ではないと思います


次の要因は、注入したエポキシ樹脂が硬化する前に建物のムーブメントが発生している。

接着剤は硬化するまでの途中に動かしてしまうと分子同士が離れてしまうという現象では・・・。

特に硬化途中のゲル化の時に接着剤を動かすと間違いなく剥れてしまいます。


エボキシ樹脂は完全硬化には環境温度20℃で約7日間も掛かります。

ましてや冬場の外気温度が5℃以下では硬化が極端に遅くなってしまいます


エポキシ樹脂の場合に完全硬化した時の引っ張り強度は約90㎏/cm2ですが、環境温度20℃の場合は1日目

の初期の硬化状態では約60%の50㎏/cm2程度はあるだろうと言われています(数値の違いは一定ではな

い)


今回の場合も初期硬化程度の硬化が進んでいればその強度はモルタルよりも遥かに強いわけですから同じ

箇所のひび割れが再発することはありません。

前回のときに撤去するときにエポキシ樹脂がまだ粘ると言うような状態でしたから硬化途中で動いてしま

ったとも考えられます。


『解ったよ・・でも、なんとしても検査の日には割れてないようにして欲しいよ』

『では、注入するエポキシ樹脂を早く固めるようにしますよ。3時間で初期硬化状態までにします、5日の

撤去の時にはかなり硬くなるようにします』

『頼むよ・・』

『樹脂も入るだけ追加注入しますから・・予算も追加してね・・』

『むっ・・?』


今回は硬化が極端に早い某社の水中硬化型の冬用と通常のエポキシ樹脂を1:1で混合します

混合したときの引っ張り強度と耐久性については不明ですが、モルタルの引っ張り強度程度なら充分にク

リアーできる筈です。


と言う訳で今年の初仕事は超変則的な方法で注入です

5日に撤去するときには樹脂は既に固まっていて、『かっちかっちやぞ・・』


今回はなんとか数日は?持ちそうです。

誘発目地とかエキスパンション構造は建物の動きをそこで吸収する方法のものです。

その近くがひび割れると言う事は構造になんらかの原因があるのだと思うのです。


でもこの建物についてはこのようなひび割れは想定内だったのではないかと思います

プロが造ったものだから、ひび割れ発生よりも他の要素が大切だったのではないかとも思います