低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

震災で発生したひび割れ補修

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写真は今回の地震で発生した住宅の基礎部分のひび割れ補修です

地震とともに庭の土が盛り上がったそうです

今はあまり目立ちはしませんが庭の土にひび割れが残っています


今回の建物は築後10年目の一階建ての平屋です。


ひび割れは庭に面した南側と東側の基礎部分だけです。

ひび割れの発生は南、東側だけで北側、西側には全くひび割れは発生はしていません。


非常に不思議ですが南側のひび割れ幅は最大で0.6㎜もあります、かなりの大きな動きが予想されますが

北西面にはまったくなんの影響もありません。


作業しながらの推測ですが庭の先は擁壁となっていて南隣りは3m下となっています。

いわゆるひな壇造成となっています。


地震によって家の敷地の半分ほどの土が擁壁に向かって波打ったのでは・・そのために南面の基礎が押し

上げられてひび割れたのではないかと考察します。


犬走りの開口部の片側は全てひび割れていると言う事も単に揺れただけではないように思えます。


今回の被災地は茨城県の北部ですが住宅に関してだけを見れば大谷石の塀が崩れているのが目立ちます


作業している時に通行している方から聞かれたのですが大谷石の補修は出来るのかと・・・。


剥がれ落ちた大谷石を注入に使用する接着剤(エポキシ樹脂)で接着するだけならできますよ。


それで良いのかなと思いますが、所詮大谷石モルタルで積み上げているだけならエポキシ樹脂の方が遥

かに良いとは思います。


ブロック塀の場合は鉄筋と補強(していない所もあり)がしてあることから崩れたところもありますが、

大谷石の塀に比べると遥かに少ないように思います。

補強の鉄筋がない大谷石の場合は揺れには弱いのでしょう。


今回は施工期間が2日間なので仮止めシールは速乾タイプのエポキシ系パテを使用しています

この場合の利点は注入後のひび割れた部分を撤去と同時にこのパテで埋めることが出来る事です。

撤去するときにバーナーで暖めながら、よく切れるスクレーパーで擦り取るとひび割れの中に食い込んで

いるパテはそのまま残ってしまうのです。


低圧注入工法はひび割れの中に接着剤を充填する方法ですが、樹脂の納まりは表面より奥の方までしか上

がってきません。

ひび割れの表面までは充填はできません。

初めての素人の方は完了しても、樹脂が表面に均一となっていないことに不安を持つと思います、この

方法の場合なら不安がらないようです。

この事については必ず施工前に説明が必要です。


注入した樹脂は最初に超低粘度型を注入し仕上げは中粘度(マヨネーズタイプ)を注入しています。


完了した時に樹脂の説明も不安のないように必要となります。

今回使用した樹脂はJISA6024合格品ですが、その引っ張り強度は70~90kg/cm2です。

コンクリートの引っ張り強度は一般には30~50㎏/cm2です。

同じ箇所からのひび割れは再発しないとの説明も必要ですが、エポキシ樹脂の破断はなくともその界面か

らの剥れはあるかも知れないとの説明も必要です。

相手は経験のない素人の方達なので判りやすく簡単に説明することが必要なのです。


次回は同地区の擁壁ひび割れの場合です。