低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

赤外線とか超音波の建物診断は効果あるの?

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写真はマンションの隔壁のひび割れ注入ですが、ひび割れの中に確かに樹脂を充填しているか否かを確認

できるようにして欲しいとの要求に、なんとか答えた現場です。

通常の低圧注入工法であればひび割れの表面には仮止めシール材がありますから樹脂の納まりは表面より

5~10㎜程度奥まった箇所になり、樹脂の確認はひび割れの中に光を当てて虫めがねのようなものでキラ

リと光るものを見てから確認します。


写真の一番下の写真は仮止めシール材とフロッグを撤去し注入完了した状態ですが、ひび割れの箇所が黒

くシミになっていて樹脂の跡がくっきりと解ります。


このようにはっきりと樹脂が廻った跡を表面に現すには以下の方法で注入します


まず、樹脂はコンクリートに浸透性の良い超低粘度型を多めに注入します

そして何よりも大切なのは貫通しているひび割れの裏側をシールして樹脂が逃げないようにします

但し、空気が全く抜けないと注入する樹脂がなかなか入りませんので裏側に空気抜きを2箇所ほど造って

おきます。


この空気抜きの方法は簡単で、フロッグをさかさまにして裏側のひび割れの上に取り付けます


このようにして表側から注入しますが、裏側の空気抜きのために取り付けたフロッグに樹脂が流れてきた

ら更に樹脂を注入します。


空気抜きのために取り付けたフロッグの中に樹脂が多く入り込んできたら、樹脂の量がタンクに表示して

いるマックスラインを超えたらこの時点で注入は終わりとします。


こんな風にして注入するとひび割れの中に入った樹脂に圧力が掛かりますから、浸透性の高い超低粘度型

であれば殆どの場合はひび割れの周りまで樹脂の染みた跡が残ります。


一目瞭然としているでしょう・・・。



さて、このように注入した樹脂の確認とかコンクリートに入ったひび割れの様子とかの状態を超音波に

よって探索するという方法が一昔前に有りましたが・・・今もその方法で検索している会社があるのだと

か。


検索の結果を聞くと、詳しくは探索はできませんでしたが・・・・との事


道路公団の時代に(15年ほど前の話)この超音波の機械を高速道路の現場に持ち込まれて、我々が注入施工

をした結果を探索調査するという実験をした事がありました。


結果は、ぜんぜんダメ・・・。


微細なひび割れは殆ど解りません・・とか。


大きなひび割れならなにも機械に頼らなくても裏側で目視する、とか進入していく樹脂の量で確実に解り

ます。


当時は公団の方も我々も大して意味の無い機械だとの結論でしたが。


建物の調査、診断という仕事にとっては、目視とか打診棒とかではいかにも前近代的でお金がとれないと

考えるのでしょうか。

まったくいい加減な結果を映す赤外線診断機器とか今回の超音波探査機とかを使えば素人なら信用すると

思うのでしょうか。


こんないい加減な事を続けていけば、結局は建物診断の仕事そのものが信用の置けない仕事となってし

まいます。



今の低圧注入工法も似ているところがあり、他の業種をあまり批判はできませんが。


施工する職人さん達自身がいい加減な工法だと言っている低圧注入工法は不思議な業界だと思います


異業種の職人さん達が見よう見まねで適当に仕事をしても通用する仕事となつているからなのです。


素人でも確実に仕事を理解して目的の通りに樹脂をひび割れの中に充填してくれればそれはそれで良い事

なのですが。


理解しないままの仕事はやはりダメでしょう。


低圧注入工法の仕事はそれを生業とする専門の会社が殆ど少ない事もありこの仕事の信用がなくなっても

大して困らないし、悲しむ人は少ないのかも知れませんが・・・・。


私は悲しいですよ・・・・・いい加減な仕事はダメですよ。