低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

笹子トンネルの事故について

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突然の事故に遭われた方達のご冥福を祈ります。


写真は当店が過去に施工したトンネル補修工事で笹子トンネルとはまったく関係ありません


この笹子トンネルについては36年ほど前の工事に関わっていたこともあり大変痛ましく残念に思います


当時はトンネルに天井をつけると言うような工法は殆ど無く、この換気システムは最新の技術だとの説明

でした。


今回崩落した天井版の継ぎ目のシールについて、そのシール材の説明に設計事務所から現地に呼ばれたの

です。



テレビ等の説明からすれば天井を吊っている吊り金具が天井から外れたとか・・・・。


天井から外れたとの説明ですが、肝心なのはコンクリートのなかに埋められていたアンカーボルトがコン

クリートと一緒に抜けたのか、もしくはボルトとナットが腐食して外れたのか・・これによって原因は

はっきりと解ります。


常識的には一箇所だけボルトから外れたとしても、他の吊りボルトで支えてくれるのではと思えますが、

一緒に同時に130mも外れるとはなかなか考えにくいのです。


アンカーボルトの周りにコンクリートのひび割れがあつたのでは・・・


アンカーボルトは接着剤で固定する方法がありますが、知る範囲では床に何かを固定する時と壁面に固定

する時に使用します。


荷重が掛かる天井の場合はコンクリートの中の鉄筋に冶具を溶接してからコンクリートを打設してボルト

を取り付ける方法で設置するのですが、問題はこの部分のコンクリートの被り厚さが薄いためにひび割れ

は入りやすいのです。


もしもこの部分にひび割れが130mほどもあったとしたら、今回の同時崩壊は良く理解できます。


ひび割れがあって水が染みているのならコンクリートのなかの鉄筋などは35年もあればコンクリート

既に中性化して溶接していた鉄筋などは完全に腐食していたと簡単に推察できます。

更に付近の水が凍結してしまえばいわゆる凍害のように膨張してコンクリートを剥がしてしまうと思いま

す。


今年の9月に天井に入って点検したそうですが、そのアンカーボルト付近は足場が無いために点検しなか

ったとか。


ではいつたい何を点検したのでしょうか・・・・わかりませんね。


トンネル、高速道路の天井裏は電気などはありません。真っ暗なのです。


投光機を持ち込んでその意識を持つて調べたのでしょうか・・・。



結果を見て批評するのは心苦しいですが、もしもひび割れ注入の専門職人が調査していたら結果はどうだ

ったでしょう。


当然の事ですが仕事を得るためにもアンカーボルト付近のひび割れを徹底して探すと思います

コンクリートの中性化とか錆び汁、エフロの流失とかに全く関心がない職員がなんとなく点検してもそれ

は重大事故を防ぐと言う事はできません。


微細なひび割れは鉄筋コンクリートの宿命でどうてこと無いさ・・・・とか

びわれが入ってから35年たってもなんとも無いから何を大袈裟な・・・と言っていたかもしれませんね


前回も報告しましたが、国内の重要な橋梁、高速道路、トンネルなどのひび割れの注入補修工事は低圧注

入を生業としている専門職人さんが施工しているとは限りません。


その殆どは素人の職人さんが見よう見まねでこのような構造物のひび割れ補修をしているのです

しかも、ひび割れの中に接着剤が入っているかいないかの確認さえしていないのです


それでも、経日劣化だからとして責任の一端は時間のせいにするのでしょうか。




このブログを見ているひび割れ工事を発注する立場の人に言いたいのです


せめて樹脂を注入作業している時ぐらいは職人さんの傍にいてひび割れの中に樹脂が入っていく様子を

確認して欲しいのです。


他には確認の方法が少ないのです


そしてまったく樹脂が入らない時は職人さんにその理由の説明を求めて欲しいのです


施主はお金を出しているのですから、対価に値する仕事をしましょう・・・・。





メディアからの報告で私のアンカーボルト設置方法の推測が違っていました  


アンカーボルトの取り付けはコンクリートに穿孔してその穴の中に接着剤でボルトを埋め込んでいたそう

です。


穴からボルトが抜け落ちていたそうです



そ、そんな簡単な方法で吊り金具を取り付けていたのですか・・・接着剤でくっ付けていただけなの?


床面のアンカーボルト取り付けではポリエステルなどでボルトを接着して取り付けますが、天井面をそん

な方法ですか。ほんとにですか。


それでは他の箇所も直ちに不安となりますよね。


但し、接着剤で35年間も持つたという結果は、ある意味では設計方法にはさほど問題はないと考えます

それよりもそのような化学的な方法だと言う事を施主に対して説明をしていたのかが大切だと思います

そして、中日本ネクスコは保守点検の大切さを自覚していたのかどうかだと思いますね。



化学的な方法では確実ではありません。


それにしても報道の大学の教授とかコメンテーターなどのいい加減な話にはびっくりします

この笹子トンネルの場合は、ボルトが抜けていると言う事は接着剤が劣化して剥がれていると言う事です

よ。


コンクリートにネジを切っていて外れたとかコンクリートで埋め込んでいたとか・・・


アンカーボルトの取り付けの方法とかは調べて正確に報道して欲しいものです。


それに、接着剤の劣化の不具合が打診の音でわかる筈はありません


接着していたものが接着不良になったからといってコンクリートとボルトの間に大きな隙間が出来るわけ

はありません。


検査をするのならナットを外してボルトを下方向に引っばらなければわかる筈は有りません



市販の引張り試験機にアンカーボルトを取り付けて引くと、その引き抜き強度は簡単に直ちに解ります。