ひび割れを診断するときに急を要するものとそうではないもの、そして樹脂によって固定するものと常に
ムーブメント(動き)があり目地の作成で対応するものなどとに分類できます
建設会社の人達がよく言う言葉にひび割れ幅が0.3MM以下のものは対象外で問題はありません、なんて事
を聞きますがこれは私は正しくないと思っています
国土交通省の仕様では0.2mm以下は低圧注入工法の必要は無しとなっていますが、このひび割れ幅の規定
はあくまでも目安であって必ずしもすべてが必要が無いというのでは無いと思います
外壁のひび割れの場合に例え0.05mm程度の超微細なひび割れであってもその割れが室内まで貫通している
場合は注入をして補修する必要があります。
ひび割れが貫通しているという事は外部と室内の気圧の差が発生すれば(台風時のときのように風を伴う
雨の場合等)必ず室内に雨水もしくは湿気が侵入してきます。
木造の場合によくある現象ですが、普段の雨ではサッシの隙間からは決して雨水が出てこないのに台風に
なるとそこから染みてくるという事があります
この現象は気圧の差が発生しているからなのです
何故微細なひび割れから雨水が浸入してくるのかは全てこの気圧の差が原因なのです
ですから例え0.2mm幅以下のひび割れであっても貫通していれば補修の必要がある訳です
ひび割れたコンクリートの中には当然ですが鉄筋があり侵入した雨水、湿気等はいずれ鉄筋を錆びさせ
て付近のコンクリートを中性化してしまいます
中性化するとその部分は脆弱なコンクリートとなりもろくなってしまいます。
室内の隣との壁のひび割れの場合
この場合は殆ど雨水などの影響は受けませんので外壁のような心配は必要ありませんが貫通していれば隣
と直通ですからひび割れ幅が大きいと耳を当てると音が聞こえます(決して聞かないでﾈｯ)
クロスは空気が通るためにミミズが這うみたいに皺になります。この場合もひび割れの幅に拘わらず貫通
していれば注入の補修をした方が良いですね。
天井のひび割れの場合
室内のひび割れと同じで貫通していれば必ず注入による補修をします。(注入の方法に工夫が必要です)
ベランダ、通路の立ち上がり壁の場合
コンクリートは必ず乾燥収縮するものですからこの場合には必ず縦方向にひび割れを誘発する目地が設け
てある筈です
目地は丁度大きな氷を切るときにのこぎりで傷をつけて割りますがこの原理と同じで目地を作ることに
よって収縮によるひび割れを吸収する役目のものです
目地が外部にあって内部に無い場合は殆ど必ずその部分にひび割れが発生します。
建物が2年以上経っていてその壁の長さが10m程度であれば注入でひび割れを固定しても問題は無いと思い
ます。
壁の長さが長い場合は途中に表と同じ位置に目地を造った方が再発がなくなります
屋上の笠木のひび割れの場合
貫通しているものはたとえ微細なひび割れであっても注入で補修する事が必要です
ひび割れの中には微動ですが開いたり閉じたり動くようなひび割れもあります
本来動きが予想される箇所には目地を造っておくべきなのですが建物が出来上がって初めて解ったという
ような事があります
ひび割れの幅が1mm以上の大きなものについては常時の動きが推定されるので確認する事が大切です
注入による固定がかえって建物を傷をつける場合があります
この場合にはUカット工法といってひび割れ部分を削って目地を造り弾性のシーリング材で充填しておき
ます。
固定するのではなくひび割れの動きを吸収できるようにしておきます。
話は変わりますが最近の失敗体験をひとつ
14階建ての公団住宅でした
1年検査で発生したひび割れを低圧注入する事となりゴンドラ作業をしていました
前日にはシーリング工事店がゴンドラを使用して今日は我々の番です
発電機を回してスタートして9階を終えて13階に向かおうとしたら突然にゴンドラは止まって動きません
何をやっても動きません。
耳を澄ませると発電機の音は聞こえます
コードを伝って遥か下を見ると、なっなっなんとあの大きなコンセントが途中から外れてぶら下がって
います
コードが縺れていたのです。携帯電話は車の中そして今日は日曜日。万事休すとはこの事。
ゴンドラの中を探して説明書を読み、手動で下がる事にしてハンドルを回しますが僅か1階を降りるのに
必死で回しても30分は掛かります、下まで降りるのに6時間は掛かってしまいます
飢え死にして明日の新聞に載るのかと不安・・・・不安・・・
飢え死にしなくて良かったです。ハイ。
