この写真は再掲ですが他の現場での写真を撮らなかったために載せています
公的な建物については耐震補強の方法として新しいスリーブを取り付けたり柱、梁に炭素繊維を巻いたり
更には金属板を巻いたりしています。
上の写真はスリーブを既存の躯体に穿孔してボルトで固定する方法ですが、その時に穿孔した穴とボルト
との間には小さな幅の隙間ができてしまいます。
その隙間に低圧注入工法でエポキシ樹脂を注入してボルトを躯体の中に埋め込んでしまうという方法なの
です。
穿孔した穴とボルトの間に隙間ができてしまうと地震の時にボルトが動いてコンクリートを崩してしまう
という事になってしまいます。
その隙間に樹脂を充填してしまうと丁度コンクリートにボルトは埋め込んだような状態になりますから
ボルトは確実に固定されてしまいます。
その隙間はボルトのネジの溝が無数にありますから小さいところで0~0.1㎜であったり大きい隙間で0.5
㎜以上などその隙間は決して一定ではありません。
このような隙間に樹脂を確実に充填できる方法は低圧注入しか他には見当たりません
施工は確かに面倒で注入する反対側には樹脂が漏れないようにシールが必要です、しかもシールの所に
小さな空気抜きも必要です。
しかし折角耐震補強のために取り付けるのにそれが実際に動いた時に不安を持つような設計では駄目だと
思うのです。
誰が見ても確かにしっかりと作られていると納得でなければ・・と思います。
下の写真は梁にコンクリートを打ち増すために鉄筋を組んでいますが、この鉄筋も梁に穴を空けて埋め込
む方法となっています。
この隙間にもフロッグで低粘度型のエポキシ樹脂を注入して鉄筋はコンクリートの中に埋め込んだような
構造にしています。
このような設計をした設計士さんの事はまつたく知りませんが、低圧注入工法を熟知した方だと現場で
説明を受けて感動しました。
日本全国で同じような耐震補強の工事は行われている筈ですが、穿孔した穴とボルトとの隙間については
どのように対応しているのでしょうか。
まさか樹脂モルタルで表面だけを埋めているだけなのでしょうか・・・・。
このような箇所も結果が見えない仕事ですから・・そこのところは適当に・・・と建設会社に丸投げなの
でしょうか・・・。
話は変わりますが・・
今、このブログに書いている色々な現場の様子などを書いた『問題山積の低圧注入工法』というマニュア
ル本を書いています。
自費になるのか出版社が支援してくれるのかは解りませんがいずれにしても近いうちに製本として公開し
たいと思っています。
読んだ方が例え本の中の一行でも頭の中に残っていると言ってくれるのなら、それはもう書いた目的は達
したと幸せになると思います。