今回の現場はネットからの問い合わせから始まった工事です
建物は新築の住宅なのですが基礎部分にひび割れが発生して地中部分はひび割れから漏水しています
首都圏ではかなり知られた大手の住宅メーカーなのですが、ひび割れの補修については専門店に相談しよ
うという事で直ちに業者を調べてそして当店にたどり着いたとの事です。
ひび割れを発見したら直ちに業者を探して施主に不安を持たせる前に補修するという姿勢には我々からし
ても頼もしいと思います。
施工については基礎部分の半分は地中に埋まっているという事から地中のなかのひび割れ部分を乾燥させ
る必要があります。
施工の日は天候が3日間以上続いた翌日にして欲しいとの我々の要求も快く受けて貰ってそのような日に
施工をしています。
微細なひび割れの場合は湿気によって僅かですがひび割れの幅が狭くなります
そしてひび割れの中に湿気があれば通常のエポキシ樹脂ではその接着に不安があります
水中硬化型のエポキシ樹脂も用意はしているのですがこのタイプの樹脂は超低粘度型の硬さの製品はあり
ませんのでこのような微細なひび割れには確実性が無くなります。
一般的にエポキシ樹脂は多少の湿気では問題なく硬化するというような事を聞きますが、この多少の湿気
とはどの程度の水分量なのか等の定義はありません。
それに、ひび割れの中が湿気程度ではなく中に水がある場合には全く接着はしなくなりますのでこのよう
な条件の場所ならばひび割れの中を乾燥させることが一番安心できると思うのです。
数日待てば済むのなら我慢して待った方がやり直しなどの後悔はしないと思うのです
住宅メーカーの方も同じ考え方なので施工についてはなんの問題もありません
ひび割れの幅は0.2㎜から大きい個所で0.4㎜です
我々はひび割れの幅も無視はできませんがそれよりもそのひび割れは反対側まで貫通しているのか否か
が一番知りたい事なのです。
このような基礎に対して微細なひび割れは直ちに耐力が不足するというような事は決してありません
ひび割れが発生して問題なのは貫通しているひび割れの中に湿気、酸素等が入り込んでアルカリ成分のコ
ンクリートを中性化して内部の鉄筋を腐食させることにあります。
コンクリートが中性化してしまうとその部分は脆弱となり大変に脆くなります
ひび割れはコンクリートの長期に亘る劣化をより早く進めるという事になります。
今回の仮止めシール材は速乾性のエポキシ系パテを使用しています
本来ならば下地を傷つけない剥離性のシール材を使うのですが、施工の日程を2日間にして欲しいという
条件なのでエポキシ系のシール材を使用しています。
今の時期ならば速乾性のシールならば約15分で硬化しますからその日に注入まで施工できるのです
但し撤去の時はバーナーが使えませんので皮スキでフロッグ等を斫り取っています
施工数量も少ないのですから手斫りでもそんなには手間は掛かりません
フロッグで超低粘度型のエポキシ樹脂を注入すると見えなかったようなひび割れまで樹脂は入り込みます
注入時に見えなかったようなひび割れから樹脂が漏れてきても心配はいりません
その隙間にもエポキシ樹脂が入り込んでいるのですからひび割れは塞がってしまいます。
低圧注入工法は樹脂をトコロテンの突出しのように後ろから押していますから注入した樹脂がすべて流れ
出してしまうというような事はありません。
樹脂がひび割れた個所に必要な推定必要量を超えていれば思わないところから樹脂が漏れてきても心配は
ありません。
施工不良によって注入する樹脂の殆どが漏れ出すようなことならば面倒でも直ちに施工のやり直しが必要
ですよ。
3枚目の写真のように翌日になって樹脂が漏れている事に気づくような時間の経過があればそれはなんの
問題もありません。
注入で押された樹脂は抵抗の少ないひび割れ幅が大きいところから侵入していきますからこのように施工
時には見えなかった微細なひび割れから漏れてくるというのは内部に侵入できるような隙間が無くなって
そしてこの部分に漏れてきたのだと推察できます。
この注入している箇所の表面のひび割れ幅は0.3㎜でしたが見えなかった横のひび割れは・・0.01以下?
このような現象を見ると流石はフロッグだといつも感心します (失礼・・自画自賛でっす)