低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

注入材の弾性エポキシは必要ですか

イメージ 1

一般的な表現として弾性エポキシ樹脂などと言いますが、正式には軟質型のエポキシ樹脂、もしくは

可とう性のエポキシ樹脂と言います。

低圧注入に使用する場合は軟質型ですが、その粘度は600mPas程度の硬さで一般的な低粘度型の樹脂の

粘度と似ています。

このタイプのエポキシ樹脂では超低粘度型のものはありません


低圧注入工法がいい加減な工法とか、樹脂がひび割れの中に入らなくても施工時の写真さえ撮っておけば

検査などは無いので対価に値しなくてもお金は貰えるよね・・・・・・なんて比喩されたりしますが、そ

の原因の一つにこの軟質型の樹脂があります。


微細なひび割れの中に接着剤を注入する目的はなんでしょうか


その目的は、ひび割れた個所に樹脂を充填してひび割れた個所の強度を元通りにする事とひび割れの中を

密封することによって侵入する湿気、空気を遮断してひび割れの中の鉄筋の錆を守つてコンクリートの中

性化を防ぐと言う事です。


例えば耐力壁とか柱とか梁など構造物を支えている箇所にひび割れが発生した時にそのひび割れの中に

いわゆる弾性の樹脂を注入して何の意味があるのでしょうか。

そのような重要な部位には強力な接着剤によってひび割れ前の強度に戻すという事が一番大切な事の筈

です。


そもそも微細なひび割れの中に軟質の樹脂を注入して何を期待しているのでしょうか

ひび割れが再度動いた時に柔らかい樹脂だと追従できるから????という理由らしいのですが・・・・


まつたくその発想には私の理解を超えています



解りやすい例ですが、シーリング材の場合にその仕様の大原則ですが、いわゆる3面接着はやってはなら

ないという決まりがあります。

つまり可動する目地の場合に目地の底と目地の両面を接着させてしまうとどんなに柔らかいゴム弾性で

あってもそのゴムには応力が0となってしまい、目地が動いた時には決して伸縮しないという原理なので

す。


もっと解りやすく言えば輪ゴムを何かに接着させてしまうとゴムは伸びないという事と同じなのです


微細なひび割れで例えばひび割れが0,3㎜幅で奥行200㎜広がり5000㎜の場合を想像してください


このような形状の薄いシート状の軟質エポキシ樹脂がコンクリートに接着したままどのように伸縮すると

いうのでしょうか


せん断方向も引張の場合も僅か0.3㎜厚さの軟質型の樹脂がその方向に変形する訳はありません


上記のようにどんな弾性をもってしてもその伸びの応力はゼロに等しい筈です


そもそもひび割れが動くとわかっていればその部分は目地を造りそれこそ弾性シーリング材でシールをし

てその動きに対応するという事が常識です。


例えばエキスパンションのような箇所ならば可動することが解っていますから最初から目地等で対応すべ

きなのです。


このように少し考えれば弾性エポキシ樹脂がひび割れの中で自在に伸縮するはずはないと解る筈なのです

が・・・・

このようにとても幼稚な発想が低圧注入工法において未だに平然として使われているという事にがっかり

します。


このような事が低圧注入工法が高く評価されない大きな原因なのでしょうね



ついでに報告しますが、この軟質型のエポキシ樹脂を最初に採用したのは昔の道路公団だったのです


ひび割れの再発は硬いものよりも柔らかい弾性の製品がひび割れの動きに対応できてより長持ちするとい

う単純な発想から始まったものです。


この樹脂を公団にスペックインしたメーカーはなんとか当時の道路公団に売り込みたかったので素人に

解りやすい理屈で売り込んだようです。


当時は私もエポキシ樹脂も製造していたメーカーに在籍していましたから…当時は色々と批判していたの

ですが・・・・今も続いているのですよね・・・。



自分のしていることに常に問題意識を持つという事が大切だと思います



都知事の選挙にしても口先だけの言葉はなんとでも言えます


過去にやってきた行動でよく見分けることが大切ですよね


尚、写真は橋脚ですが我々が施工しましたから硬質型の本来のエポキシ樹脂を使用しています