引き渡し後1年経過でひび割れ
大型のコンクリート構造物ですが引き渡し後に数か所にひび割れが発生しています
ひび割れが発生した程度では大きなクレームにはならないのですが、今回はひび割れから漏水していて駐車している車に遊離石灰が付着してクレームになっています
コンクリートのひび割れから雨水等が漏れ出している場合の止水の方法は色々とありますが、長期的に補修をするなら今回のような低圧注入工法による導入路工法という方法がベストだと思っています
ひび割れた個所に3㎜幅、深さ30㎜程に切り込みを入れてその中にパイプネットを装填して低圧注入器具のフロッグを取り付けて急結セメントで仮止めシールをしてそして水中硬化型のエポキシ樹脂を入るだけ注ぎ足しながら注入します
今回は我々が補修する前にUカット工法でひび割れに10㎜の溝を造りそして弾性シーリング材で止水の補修をしています
殆ど止水に経験が無い工事店だったのでしょう
施工後にすぐに水が漏れてきたそうです
シーリング材は背面からの水には全くの無力と言う原理が理解されていなかったのでしょうね
施工はそのUカットの中のシーリング材を撤去して更にその溝の中に切り込みを入れます
そして切り込みした溝にネットを装填してフロッグを取り付けています
注入したフロッグから隣のフロッグのなかに樹脂が伝わったらこの程度でも止水は殆どできていますが更に続けて注入をします
そして注入する際にポンプに圧力が掛って重くなったらそれで暫く様子を見ます
フロッグのなかに樹脂が無くなったら更に注入をします
今回の場合はコンクリートの厚さが1mもありますから多く注入するほど安心となります
一日置いて水滴が落ちなくなって表面が乾いたらフロッグを外し仕上げの補強材を塗布します
完成です
この止水の仕事は大変に手間が掛りますがこれほどの手間をかけないと止水は出来ないという事だと私は思います
今回は漏れてくる水にあまり圧力は掛っていませんがもう少し多く水が漏れてくる場合はフロッグの注入口を外して取り付けると急結セメントのシールも簡単に取り付けられます
フロッグの注入口はその為に取り外しが可能なのです
今年の1月頃に中国の高速鉄道の橋脚にひび割れが多く発生しているという事でこちらにその補修方法について質問が来ていたのですがいきなり話が途絶えていたのですが今月になってまた話が来ています
コロナ騒ぎですべての事が止まっていたそうです
三峡ダムとかコンクリートに発生するひび割れについて時々中国のニュースで知りますが地元の中国の方からの直接の話なのでなんとか補修の工事に関わりたいとも思っています。
中国にも低圧注入工法はあるにはあるようですが殆ど普及はしていないようです
フロッグを紹介して仮にすぐに地元でコピーされてもこの工法が普及するならそれはそれで考案者から見ればいいと思いますが・・・・