ひび割れの補修における低圧樹脂注入工法は器具の取り付けと仮止めシールの仕上がりが注入作業の出来上がりに大きく左右されますが、夏場には注入の完了後のこれらの撤去が大変な問題を発生させるのです。
仮止めシール材はひび割れの中に注入した樹脂が硬化するまでは漏れださないようにするためのものですが、注入完了後には下地を傷をつけないように簡単に剥がれる物でなければいけません。
場所によってはこの仮止めシール材を予め取れなくても良いような強固なエポキシ系パテで施工する場合がありますが殆どの場合は剥離性のシール材で施工します。
特に新築の出来上がった直ぐの建物の場合は仕上げ材には傷をつけるのは良くはありませんから簡単に剥がれる物が良いのです。
この剥離性のシール材はポリウレタン系、変性シリコーン系、合成ゴム系とありますが下地によっては剥離しない場合があるのです。
役所の建物で1年検査の時に妻壁にひび割れが発生していたので建設会社の担当者の方が役所に報告して低圧注入で補修するということにしたのですが、役所の方は汚れるし傷か付くと直すのが大変なので2年検査の時にしましょうという意見だったのですが。
担当の方は今までの経験から殆ど傷か付かないという事を知っていたので私に今までのように頼むよ
はい、任せてください、たかが5mぐらいですし・・・。
と、取れないのです。
無理して剥がしていくうちに下地のリシンのパターンが崩れてくるし。
剥がした時はひび割れの付近は下地のコンクリートが見えたりしていて。
どうしたんだ・・・なにをどうしたんだぁ。
すみません、取れないのです。
原因は後で技術に相談してからしますが、どうしましょう。
結局、5mのひび割れの為に4階建ての妻壁全面を休日中に(役所の方が休みの間に)足場を架けてリシンを吹きつけ直したのです。
全面を吹き付けなおさないとムラが出てしまうのです。
仮止めシール材はシーリング材と殆ど同じ配合で造りますが、出来るだけ接着力を落とすように接着付与剤を取り除いたりワックスを混合したりしています。
このような樹脂は一般的には温度に敏感ですから硬化途中に高温を当てたり急激に冷やしたりするとバランスを崩し余分な投錨効果を発揮させたりします。
ガムテープをガラスに長期間貼りっ放しにすると取れなくなるような現象と同じになるのです。
今年の夏は高温になるようですからこんな風な事故はありそうです。
仮止めシール材のメーカーは残念ながら責任を感じていないようなので、何年も前からこの件についてのクレームが発生しているにもかかわらず、
馬耳東風、暖簾に腕押し、糠に釘、女好きに妻の小言・・・・・・なんですぅ。