低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

役所のひび割れ注入工事の場合

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今日は、公的な建物の場合のひび割れの注入工事を行う場合に必要な書類とかその順序そして問題点等

について報告します。


全国、殆どの場合はこの順序は同じだと思いますが、市町村によってはこのような順番を省く場合があり

ますので、大抵はそうだと思って頂ければと思います。


ひび割れの調査及び積算

役所の予算取りの時に行う場合と、耐震補強の場合のように工事が予め決められている場合とそして緊急

の場合がありますが、どちらにしても現地に出向いてひび割れの位置と数量を図面に記入していきます


この仕事は今は殆ど役所と契約しているコンサルタント設計事務所が行っているようです


工事が開始したら

低圧注入工事に使用する材料の『使用願い書』を提出します

使用する材料のカタログ、試験成績書等の資料提出が必要となります
 
エポキシ樹脂についてはJISA6024品であることが条件となります

フロッグのような低圧注入器具については公的な規格も特定のメーカーの指定もありませんが、成績書、

工事実績等が必要となります。


役所で材料の了承の返事が着たら常識的には、もう使用する材料の変更はできません

一般的に『指定材料だから変更できないよ・・・』といわれるのはこの段階を過ぎていると言う事です


この動きをよく知らないメーカーとか工事店さんが役所の工事は指定された材料が国で決められているか

ら等と、いい加減な事を言っていますが、役所は決して特定のメーカーを事前に決めているような事はあ

りません。


但し現場で具体的な表現として例えば『フロッグ同等以上』と言うような特定の商品名を挙げてその製品

と機能が同等もしくはそれ以上なら使用できますよと言う表現は良くしています、しかし、決してフロッ

グのみを使えという意味ではありません。


よく現場から、低圧注入器具の国(国土交通省)の指定商品名について問い合わせがありますが、国土交通

省によると低圧注入器具については、ひび割れの中に接着剤を入れる道具であって敢えて商品名の指定は

していないという事を聞きます。

例えば左官屋さんのコテとか大工さんの鉋のように道具として考えているという事だと思います

施主の目的はひび割れの中にJIS規格のエポキシ樹脂をひび割れの中に確実に充填して欲しい訳で、その

方法が低圧注入工法だと言う事なのです。


もしも国で器具を指定していたらその器具について問題があったときに国には責任が発生しますから、殆

どの現場では事前に特定のメーカーの器具を指名する事はほとんどありません。

例外的に現場の技官及びコンサルタントが何らかの理由で事前に決めている場合もある事もないわけでは

ありませんがそのような現場は殆どありません。


では何故図面の中に特定のメーカーの商品のスケッチがあるのという事については、それはあくまでも例

として書いているだけであって必ず使用しろと言う事ではないという話です。


そうなのです・・・低圧注入器具のメーカー選定の主導権は現場の元請(建設会社)にあるのです。

その建設会社に低圧注入工法の知識が無ければ出入りの業者に選定を任せます

更に出入り業者も知識が無ければ注入する下請けの会社に選定を任せます

ひび割れ注入における低圧注入工法は一般的には知られてい無いという事と、なによりも工法を生業とし

ている職人さんが殆どい無いという事で任された下請けの会社も器具については販売店に相談しているよ

うです。


このような事になってしまっているためにひび割れ注入は適当ないいかげんな工法となってしまっている

のです。


次に、現場に参加する職人さんの資格については、殆どの現場では必要とはされませんが、下水道事業団

の現場については注入技能士(国家資格)が一人は参加することが必要なようです

国交省都道府各県、市町村については殆どその提示等は無いようです


現場が始まると納入された使用材料の写真と数量の報告書が必要となります

施工途中の施工写真が必要です


そして注入工事が終了した後には上記のような出荷証明とか安全データーシートさらには品質証明などの

書類をメーカーに依頼して作成してもらいます


この順序で、完了となります


さて、ここからが問題提起なのです


当店も小さくても低圧注入器具のメーカーですから、当然のことですが出荷証明とかMSーDS等の一連の書

類は依頼されれば提出します。


問題点は出荷証明の事なのです

出荷証明の目的はメーカーから現場及び工事店に納入された数量が、現場のひび割れ数量に対して適正で

あるか否かを見るための書類なのです

ですからメーカーは本当に出荷された数量を正確に報告する義務があるのです


役所では、ひび割れ長さに対して注入器具取り付けの数量は共通仕様書では1M当たり4コとなっています

ので、例えば30Mのひび割れであれば最低でも120コは必要となります。


そうなのです、ごまかさないで決まり通りに低圧器具を必要量に使用すればなんの問題も無いのですが、

数年前から器具の使いまわしの方法で施工する職人さんが増えているのです。


これは注射器タイプの器具の場合のみに行える方法なのですが、例えば30Mの場合に低圧器具は20コ程度

を用意してひび割れの上に取り付ける台座のみ120コを取り付けるのです。


この器具の場合は台座とシリンダーはネジ式で取り付けるような構造なので離して取り付けることができ

るのです。


シリンダーの方に樹脂を入れて、そして台座に取り付けて輪ゴムで樹脂を押し入れる方法なのですが、台

座に取り付けて一時間ほどしてシリンダーを取り外し再度樹脂を入れてから次の台座に取り付けて行くの

です。


そんな風に短時間で付け替えをしてしまうから、決まった数量の器具を使わないのです。


そもそも低圧注入工法は小さな力で長時間を掛けて樹脂を押し入れるという方法なのですが、短時間で

樹脂が固まらないうちに器具を外してしまえば、外した器具の所の台座から樹脂が漏れてくるし樹脂は殆

ど入らないのではないかと思うのです。

フロッグなどの場合は使い捨てですから樹脂が固まるまでは取り外す必要はありません

翌日に取り外す時にとんでもない箇所から樹脂が漏れてきている場合があります


長い時間に樹脂は押されて進入していくから隅々まで侵入していくのです



公的な建物でもこのすぐに取り外して次の台座に付け替える方法で注入していたのを見たのです


何気なく職人さんのところに行って話しをしたのですが、このように付け替える方法が正規の方法だと思

っていたそうです。

メーカーも何度でも使えるよ・・と言ったとか。

30mなら本来は低圧注入器具を120コ必要だが20コで済むのでこの器具は経済的だとかのたまうのれす。

壁面が汚れるとかひび割れの中に樹脂が入るとか、入らないとかはこの仕事では関係の無いことらしい


こんないい加減な方法が良い筈がありません

壁面は汚れるし、肝心のひび割れの中に樹脂は殆ど入らないし・・・・


そこでこのメーカーは役所に提出する出荷証明は本当の数量を書いて提出したのでしょうか


役所も元請も本当の数量で納得したのでしょうか・。



それとも嘘を書いたの・・・?