長年コンクリートのひび割れに拘わっていると、ひび割れの発生している方向を見るとその構造物による
発生の原因は解らなくても荷重された方向はわかります。
写真の場合は梁に3本のひび割れが縦方向に発生していますが、このひび割れは真ん中のひび割れの上か
ら荷重されて発生したものです。
両横の斜めのひび割れは真ん中のひび割れに荷重した中心へ向かおうとしています。
もう少し強い荷重があるとこの斜めのひび割れは真ん中のひび割れに到達したと推察できます。
このようなひび割れは実験する時の典型的なひび割れと全く同じ形状をしています。
建物のこの梁の部分は大切な箇所なので、注入する我々もより確実な方法でエポキシ樹脂を充填します。
ひび割れは梁の下部分にも貫通しています。
この場合は下のひび割れにフロッグを取り付けますが原則としては下からは注入はしません。
下に取り付けるのは横に取り付けたフロッグから注入した樹脂がひび割れの中に満杯になって下側に回っ
てきた事を確認する為なのです。
どうしても下に樹脂が廻らない場合のみ下からも注入します。
建物にとって重要な箇所のひび割れについては、なにがなんでもひび割れの中に樹脂を満杯にしなければ
いけません。
当然ですが超低粘度型の樹脂から注入し、低粘度型を注ぎ足し更には中粘度型の樹脂を注入します
今回のこの建物は最新の設計仕様で大変に勉強になりました。天井が低くて疲れましたが。
いい仕事ができたと感謝とそして満足です。
樹脂は予定の倍以上の使用量でした。
政権も変わったし、なんだかいい事がありそうな予感。
帰りの電車では座れたし、横には品のいい女性が座るし更には自販機からは余分なお釣りが出てくるし
今日は良い日だ・・・・
なんと小市民的な男なのだ、情けない・・・まあ、こんなもんですか。