低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

低圧樹脂注入工法は信頼できるのか

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このブログではコンクリートのひび割れ補修に於ける低圧樹脂注入工法について、その方法そして色々な

問題点等について報告してきましたが今回はその基本的な部分を報告。


何故微細なひび割れの場合は低圧注入工法なのか

微細なひび割れの中に接着剤を隙間無く充填するには、小さな力でそして長い時間をかけて樹脂を押し入

れる方法が今の技術ではベストな方法なのです。

台風時に見られる屋外と室内の気圧の差による雨水の浸入がその原理となります。


このように低圧で時間を掛けてひび割れの中に接着剤を充填する方法が低圧樹脂注入工法なのです。


但し微細の範疇に入らない大きなひび割れの場合は例えば0.7㎜幅以上のような隙間は上記のような小さ

な力で入れなくとももっと強い力で接着剤を押し入れても問題なく奥深く充填する事ができます。


いずれにしても注入する樹脂は柔らかいほど抵抗が少なくなりますからより簡単に入りやすくなります。


時々見かけますが、0.3㎜幅程度のひび割れにドリルで穿孔してグリスポンプで注入している職人さんが

いますが、殆ど注入は出来ていない筈です。


経験が少なく誰も教えてくれなければ解る筈はありません。



低圧樹脂注入器具は各社で色々な形のものが造られていますが、その基本的な機能は樹脂を押す力を0か

ら4㎏で設計されています。


樹脂を2~4㎏程度で押す力が微細なひび割れには最適な能力を発揮できるのです。


フロック゛の場合は更に高機能を目指している為にその圧力は0から最大30㎏までの圧力が自在に使用で

きるようになっています。

30㎏は中圧となりますが、ひび割れの場所によっては低圧では押し入れる事が難しい時があり、中圧を必

要とする場合があります。


例えば堰堤のようにコンクリートの厚さが1mを越す場合などには絶対に必要となります。


何故、低圧樹脂注入器具は樹脂の注ぎ足し機能が必要なのか


この理由は簡単です。

注入する樹脂の硬さとひび割れ幅は必ず適合性があります。

満員電車の例のようにひび割れ幅が小さい場合は柔らかい樹脂で、ひび割れ幅が大きい場合は硬い樹脂

と言うように必ず適合性があるのです。


ひび割れの幅は決して一定ではありません。

表面は0.4㎜でも奥は0.1㎜になっているかもしれませんし、逆に0.7㎜に広がっているかも知れません。

更に奥には巣穴が有るかもしれません。


そこで、ひび割れの中に確実に樹脂を充填するにはどんな場合も最初は一番柔らかい超低粘度型から注入

してその時の樹脂の減り具合を見ながら次の硬さの樹脂を注ぎ足していきます。


何度注入しても直ぐに器具の中から樹脂が減っていく場合は硬い樹脂を止まるまで入れていきます。


ひび割れた箇所には奥に巣穴がある場合が多いのでその巣穴の中に充填する事が必要なのです。


注ぎ足し機能が無い、風船に入れた樹脂で終わりとか、輪ゴムで押し出して終わりでは確実な注入はでき

る筈がありません。


こんな簡単な理屈も解らないものだから10年1日のごとく同じ事の繰り返しなのです。


業界で低圧樹脂注入工法はいい加減と比喩されるのも仕方の無い事だと思います。


何故、注入の専門業者が育たないのか


建築にかかわらない方には信じられないと思いますが、この低圧注入工法だけで生活している職人さんは

皆無に等しいのです。


この仕事をしているのは例えば防水施工の方とか塗装の方とか、いわゆる兼業の方達が殆どなのです


不思議なのですが、この注入の仕事については国家資格の技能士という制度も古くからあるのですよ。

資格制度まであるのにどうして専門業者が少ないのでしょうか。


色々考えてみると注入と言う仕事は非常に特異な仕事だと思うのです。

注入した仕事の結果が直ぐに解らないと言う事がこのような事になってしまったと思うのです

注入した結果が解らないならどんな方法でもOKとなります。


それに検査方法も殆どないのですから・・・。


検査の方法についてはコア抜きという方法がありますが、この方法は施工した部分をくり抜いて調べるの

ですが現実には建物に穴を空ける事は後になって問題があり、なによりも施工した箇所を全域に渡っては

できませんのであまり意味のある方法では有りません。


つまり、いいかげんな方法でも殆ど問題にはならないと言う事なのです。


ひび割れの中に樹脂が確実に充填されていようがいまいが、施工途中の写真を撮ればそれで仕事は完 

了なのです。


今は、こんな事でも平気でまかり通っているのですから注入工事を生業としている専門家の必要性が無い

のです。


私が出合った職人さんのなかには低圧注入に興味を持ちこの仕事に情熱がある方がかなりいるのですが、

そのような方には残念ながらあまり仕事が廻ってこないのです。

現場の監督さん達のひび割れ注入への意識が低く更には知識も無い為に身近な素人の職人さんに依頼して

いる現状なのです。


お金を出して、ひび割れた箇所の補修を依頼したお施主さんは、まさか素人の職人さんが施工していると

は思いもしないでしょう・・・・。


お気の毒ですが現実に起きていることなのです。