今日はコンクリートに発生する微細なひび割れの中にエポキシ樹脂をフロッグで注入した時の樹脂の広がりの様子を実験したものを報告します
低圧注入工法と言う微細な隙間に接着剤を入れる方法は小さな押す力と時間をかけて静かに樹脂を押す力でその能力を発揮できます。
フロッグはその樹脂を押す力は例えばゴムとかスプリング等の力を利用するのではなく
フロッグのなかに樹脂を入れるときに発生する圧搾空気を利用して微細な隙間に樹脂を静かに押し入れる方法なのです。
フロッグという製品は樹脂の注入口は逆止弁になっていてひび割れの上に直接接着剤で取り付けるとひび割れ以外に空気の流れるところはありません
フロッグを壁面のひび割れに取り付けて樹脂をフロッグのなかに注入するとフロッグの中の空気は樹脂で塞き止められますから樹脂が入った分の容積が狭くなり圧搾空気となります。
樹脂をフロッグの目盛りのMAXまで入れると樹脂を押す力は2㎏ほどになります。
樹脂はひび割れの中に押されますが微細なひび割れの場合はすんなりとコンクリートのひび割れの中には入りません
それはちょうど電車の入り口に一挙に沢山の人が入ろうとすると詰まってしまってなかなか中に入る事が出来ません
それと同じ現象がひび割れの入り口で樹脂が詰まったようになるのです
暫くすると樹脂は少しずつひび割れの中に侵入していきます
この小さな力でゆっくりと樹脂を注入する方法を低圧樹脂注入工法と言うのです
微細なひび割れの中に接着剤を充填する目的ならいきなり高圧のコンプレッサーなどで樹脂を入れようとしても決して入りません。
小さな力でゆっくりと押し入れなければ樹脂はひび割れの奥までは決して入りません
この低圧注入工法がすごいなぁと思うのは、例えばひび割れていないブロックに直接取り付けてフロッグで注入してみると一時間もするとブロックの微細な隙間に樹脂が廻ってきます。
隙間さえあればどんなに狭い所でも勝手に樹脂を侵入させるのだといつもながら感心します。
下の画題の写真は透明の板と合板を合わせてその隙間を0.3㎜にして超低粘度型のエポキシ樹脂を注入した状況です
ひび割れの中に注入された樹脂は必ず半円形を描きながら侵入していきます
樹脂は決して真っすぐに線のように入るわけではありません
必ず半円形なのです
どうして?・・とよく聞かれます
静かな池に石を落とすと必ず波紋を描いて丸く広がりますよね・・・
それと同じですよ
つまり押す力に対して同等の抵抗が発生するからです・・・と説明します
国交省の共通仕様書には低圧注入器具の取り付け間隔は300㎜程度となっています
これはコンクリートの厚さを150㎜と想定して規定しています
つまり樹脂が150㎜の壁面の裏側に達した時に樹脂は半円形ですから上下の間隔は同じ150㎜ですから隣の器具は300㎜間隔だと樹脂は繋がるという事でその仕様になっています。
器具の取り付けの間隔は300㎜以下なら多少短くしもいいのですが器具の費用を考えると余分な事は必要が無いという事です。
よく現場で低圧注入工法は樹脂が入らないなどと言われる場合がありますが、本当は隙間さえあれば必ず樹脂は入るのです。
しかし残念ですが施工する方が専門の人ではなく兼業の職人さんが殆どですから取り付け方とか樹脂の硬さを間違っているとか技術の未熟さが樹脂が入らないなどと言うのだと思います。
全国に低圧注入施工を生業とする工事店は殆ど存在しないものね・・・・
専門家が増えて欲しいものですね