低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

なぜ微細なひび割れの中に樹脂が入るの

イメージ 1

今日は現場の報告をお休みして、フロッグについてのよく聞く質問について報告します

低圧注入工法の殆どの器具は、髪の毛の半分ほどの大きさのひび割れのなかにも樹脂が進入していきます

がどうしてなのでしょう。


低圧注入工法は、今から36年ほど前に化学メーカーの技術者がその基本的なシステムを考え付いたそうで

す。


どのようにしてそのメカニズムに辿りついてのかは不明ですが、私はそうではないかと次のようなことで

解ったのではないかと勝手に推察しています。


気圧の差による進入に気づいたのでは


雨、風が吹き荒れる台風の時などに限り、窓周りの隙間から雨水が流れてくる場合があります

普段の雨の時はまったく漏れてこないのに、風の強い雨の時だけに限って漏れてくる事に疑問を持ったの

ではないかと思います。


この現象は小さな力の気圧の差によるものなのですが、そのメカニズムの原理に気づいて特許を提出した

のではと思うのです。

当時の特許を申請した製品については詳しくは知りませんが、樹脂を金属のスプリング等で2~4kg程

度の押し圧で注入する方法、もしくはゴム風船のようなものだったのでしょうか。


小さな隙間に樹脂を押し入れるのなら、強い力で押し入れた方が樹脂は入りそうですが実はその逆なので

すね。

電車に乗る時に沢山の人が一気に強く入ろうとすると入り口で詰まってしまいますが、一列に並んでゆっ

くりと乗り込むと簡単に隅々まで入れるのと同じ原理です。


微細なひび割れの中に樹脂を入れるには小さな力でゆっくりと時間を掛けて押し入れると簡単に入ると言

う事なのです。


ですから、名称もその当時は低速低圧注入工法という言い方だったのです。



フロッグの場合もその原理は全く一緒なのです


上のスケッチ図面のようなシステムとなっていますが、解って貰えるでしょうか。


フロッグの容器の中に樹脂を入れると容器の中の容積が小さくなってその中にあった空気が樹脂によって

圧縮されてしまいます。


圧縮された空気は元に戻ろうとして樹脂を吐出口の方に押しだそうとします

フロッグの場合はこのときの圧搾空気の戻ろうとする力が2㎏程度なのです。


つまりフロッグの場合はその押し圧は入り込んできた樹脂による空気の圧力がそのエネルギーとなってい

ます。

フロッグは空気圧によつてひび割れの中に樹脂を押し入れるというメカニズムです


低圧注入器具は数社で色々な形のものが作られていますが、その押し圧のエネルギーはスプリングであっ

たり、ゴムの戻る力だったり、風船のようにゴムを膨らせてゴムの戻る力を利用したりしています

またはコンプレッサーを器具につないで圧搾空気を作り出しているものもあります


低圧注入器具はどんなに大掛かりな装置であっても、フロッグのようにシンプルな製品であっても原理は

皆同じなのです。


押し圧のエネルギーはフロッグのように強くしたり弱くしたり自在に出来る製品はあまり無いようです

フロッグの場合は樹脂を多く入れると空気の押し圧は強くなり、樹脂の量を少なくすれば押し圧は小さく

なります。

スプリングとかゴムの場合は一般的にはセットしてから壁面に取り付けるようなシステムですからその押

し圧の調整はあまりできません。


図面の説明ですが左側が壁面に取り付けた場合、真ん中は天井に取り付けた場合、右端は床に注入の

場合です。

強く沢山注入したい場合は樹脂を沢山入れると強い圧力が生まれます

限界まで樹脂を入れるとその圧力は最大20㎏にもなります


ひび割れの状態によつて樹脂の量とか圧力は自分で調整できるのです


例えばコンクリートの幅が1mも2mもあるような堰堤のような場合にはかなり強い圧力が必要になります

超低粘度型の柔らかい樹脂を静かにゆっくりと注入しますが奥のほうに行くにしたがって通常の圧力では

押し入れることができません。

フロッグの場合はこのような時には樹脂を多く入れて圧力を強くするのです

樹脂が柔らかすぎて流下するなどの対策は別としても樹脂を貫通することにはさほど苦労はありません



取り付けたら終わりで、後はどうなるかは器具次第・・ではいけませんね・・・・。