ひび割れからの漏水という事で施工していますが漏水は必ずしも一箇所だけだとは限りません
賃貸の物件の場合は入居者の方が引越しした時だけが徹底した改修工事ができるわけですから、我々にと
っても簡単には施工のやり直しはできません。
漏水の可能性がある箇所には可能な限り補修をします
今回の場合も確かにひび割れから雨水が漏れてきていた形跡があるのですが、実際に内側のひび割れから
注入するとシーリング材の隙間からも樹脂が漏れてきています
ならば、シーリング材の打替えも必要なのではと打ち替えを行っています
シーリング材について一言
この建物は25年以上も前に造られたらしいので当時はこのように現しの箇所についてもウレタンシーリン
グ材を使用していますが、そもそもウレタンシーリング材は耐候性に劣る材料なので5年も経つと表面に
亀の甲状のひび割れが発生して白華現象を起こしてしまいます。
ウレタンシーリング材は経済的な価格で使いやすいというような材料ですが化粧としては(現し)使えませ
ん。
特に現在のウレタンは主剤との配合は5:1となっていますので耐候性は殆ど期待できません
表面の劣化は1~2年ほどで始まります。
この建物に使われているウレタンは推察ですが、25年も前の材料という事は、当時は3:1の配合でしたか
ら今のウレタンとは比較にならないほど良かったのではないかと思います。
しかし当時としても吹き付け材の下地としての使用がベストだったと思います
今回の打ち替えは変性シリコーンシーリング材で行っていますが、この材料は接着にはプライマー依存度
が大きいために必ずプライマー処理が必要です。
他の素材に比べると時間経過と供に付着力が増加してくると言うような現象は殆どありません。
ガムテープを貼って一年も置いておくと取れなくなるような現象の事です。
明日からは強い雨が降るとか・・・その様子を見てから内装の工事に入って貰いたいのですが。
シーリング材については私の歴史のようなものなのです。
若かりし頃入社した会社はゴムのメーカーだったのですがシーリング材などの化成品を製造していたので
す。
担当がシーリング材だったものなので、それから停年になるまでずーとシーリング材に関わってきたの
です。
入社した頃はシーリング材とは言わないでコーキング材と言っていましたね。
シーリング材の主力は油性コーキング材だったのです
ヘラも市販していないものだから金物やさんで洋食ナイフを買ってきて削って造っていたと言うような時
代です。
私は今でも押えバッカーを殆ど使わないで金ベラを使用します、頑固なのでしょうか。
日本で始めての超高層ビルの霞ヶ関ビルのシーリング材はウエザーバンのチオコール(ポサルファイド)で
したよね。
懐かしいですよね
確か住友スリーエムがアメリカの技術で造っていたシーリング材でした。
シーリング材の技術もその当時から比べると格段の進歩だと思いますが、他業種に比べると10年1日のご
とし程度でしょうか。
未だに2成分型が主力だという事だけでも遅れていると思いますし、テレビなどはブラウン管から液晶に
基本的な部分が大変革しているのに、シーリング材は未だに万能型のシーリング材が無いと言うのも進み
方が遅いと思いますね。