低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

注入工事は何故一日で完了出来ないのか

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前回の価格について報告しましたが、例えばひび割れの上をカットしてシーリング材で埋め戻すUカット工法に較べて2~3倍にもなりますがどうして低圧注入工法はそんなに高いのでしょうか。

高価になる一番の理由は低圧工法は工程ごとの時間待ちがあり僅か1Mだけを注入する場合も標準工法だと3日間も掛かります。
最初に器具を取り付けてその間を仮止めシールしますが、この時のシール材の硬化時間は約10時間は必要となります。

次のエポキシ樹脂の注入ですがこれも充填して硬化するまでには約7時間以上は必要です。

つまりひび割れの上にセットするのに1日そして注入するのに1日最後の日に撤去となります。
場所によりますが50M程度も3日できますから1Mも50Mも期間は3日間掛かると言うことです。

この期間の長さが人工代(人件費)の費用となって高くなるのです。

次の原因は、ひび割れの中に樹脂を注入するということは壁に一様に塗料を塗るような事はできません。
ひび割れの中が見えない為に樹脂が入ることを一つ一つ確認しながら注入していく訳ですから一気に流れ作業的にはできません。
場所によっては裏側に廻って漏れてくるのを確認したりと確実に注入するとすれば大変に手間が掛かります。

少ない数量の施工についてはなんとか1日で納まるようにしたいと、それぞれに使う樹脂に硬化促進剤を使用したりしますがその製品の品揃えも殆どのメーカーには用意されていません。
それに促進剤を使う事によって樹脂の強度が弱くなったりしますからこの方法も推薦できるというような方法ではありません。

剥離性の仮止めシール材の改良と注入する樹脂の開発がなければ今の価格からはさほど下がらないと思います。

注入器具についてはフロッグのように一体成型して飛躍的に価格を下げる事ができ少しは施工のコストダウンに貢献できましたがこれも全国に普及するにはなかなか時間が掛かりそうです。

もう少し建設会社、設計事務所そして公的な機関が低圧樹脂注入に関心を持ってくれればいいのですが現状ではその工法については知っていても細かいところまでは気が回らないようです。

ひび割れたコンクリートはどんなに考えてみてもその隙間を強いもので完全に充填しなければ前の強さには戻らない筈です。
費用が無いから取りあえず表面だけを削って何かで埋めてしまえではお施主さんに気の毒です。
特にマンションなどは殆どの人が一生に一度の買い物ですよ。
ひび割れ補修には販売して儲けたお金から少し持ち出ししましょうよ。

構造クラックだから、乾燥クラックだから補修しないというのが何故補修しない理由になるのかは解りません。
個人の方は購入前には鉄筋コンクリートにひびが入って雨漏りがするなんてことは思いもしなかったのでしょうから。
ひび割れが出てからそれは瑕疵ではないよ、しようがないですよではなんだか割り切れないですね。

マンションのセールスのときにひび割れは発生しますよ、発生したらその都度補修しますよと言うような説明をして欲しいですね。
コンクリートの宿命なら事前に説明しておくべきですね。