低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

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シーリング材の破断は何が原因なの?

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写真は2年目にシーリング材が破断して、その部分を補修したのでしょうが再び劣化して破断した症状です。

シーリング材のグレー色の部分は古い変性シリコーンシーリング材で白い箇所は2年前に補修したウレタンシーリング材です。

新しく補修したほうが早く劣化しています。

冗談ではないですよね。
施主にしてみれば騙されたように思いますね。

プロの職人なら故意でないのならもっと勉強して欲しいですね。

可動目地は2面接着の方法で無ければシーリング材は動きに追従できません。
3面接着ではシーリング材の応力はゼロに近くなります。

今日は低圧注入ではなくシーリング材についてお話します。
シーリング材は低圧注入とは違って国内で生産され始めたのは1955年ぐらいからで、歴史はかなり昔からあったものです。

但しこの当時は植物油を原料とした油性コーキングが主流でした。
今でも現場で時々耳にしますが、コーキング材などと言うような言葉がありますが1969年にJISA5754の弾性シーリング材(ポリサルファイド通称チオコール)が制定された頃からこの表現に一つの決まりを業界で決めました。

コーキング材という表現は油性コーキングのみの通称とし他の製品は全てシーリング材と表現するように決まりました。

ですから今は油性コーキング材は殆ど(皆無に近い)使用されないので現場で使用しているものはシーリング材と言うのが正しいのです。

シーリング材には現在その機能、耐久性についてJIS規格を制定していますが特に1997年に国際規格に適応すると言う事で、今までの耐久性に適応能力のムーブメント追従性も加えて評価しています。

耐久性については次のような数字が規格として表現してありますがその見方を少しだけ説明します。
あまり詳しく話しても面白くないので簡単にしますが誤解の無いように。

耐久性の区分は10030,9030,8020,7020,7010,9030Gと6区分とされています。
この数字の最初の3桁2桁は試験をした温度の数値で、後の数字は伸縮幅を繰り返した数字です。
例えば10030は100℃のオーブンのなかで数十時間入れ取り出してから今度はプラスマイナス30%の伸縮幅で数万回繰り返し行なったという数字です。

つまり加熱してその後に伸び縮みを繰り返し行なってそして目視で異常があるか無いかということがその試験方法なのです。

従って数字が大きいほど対候性の良い優れた商品と言えます。
但しいくら耐久性が優れていてもそのシーリング材が硬い場合は今度は建物の動きに追従できません。
対候性が良くて更に柔らかい製品であれば優れたシーリング材と言えます。

残念ですが建物に使用するシーリング材で万能なものはありません。
8品種ほどありますがそれぞれに短所があり使い分ける事が大切ですね。

次に品種については次の通りですが標準的な使用箇所を書いておきます。

油性コーキング   建物には使わない方が良い 理由は兎に角、使うなって。
 
アクリルシーリング ALC版に使用していましたが品確法以来使用しなくなった。
          安価ですが収縮して切れやすくて弾性は殆ど無い。7020
 
ウレタンシーリング 耐久性は2年ほどで、表面が白華する。安価。
          表面が白くなっているのはウレタンと見て間違いなし。
          タイルの取り合い目地などの現しに使う工務店がありますがこれは駄目です。
          表面に吹き付け材のような仕上げ材で隠れる場合については問題はないのです
          安い物だから使いたくなりますがそれだけの要因で使うのは駄目です。8020

ポリサルファイドシーリング
           数年前から重金属の二酸化鉛を混合しなくなってからは耐久性に劣ってきまし
           たが弾性、耐久性は優れています。
           かっての超高層ビルの目地は全てこの商品でしたが今はあまり使われません。
           霞ヶ関ビルもそうでした。9030

変性シリコーンシーリング
           比較的万能に近い商品です。
           現在の超高層ビルでの使用量は一番多いと思います。
           耐久性区分は9030品となります。
欠点は自己接着力が弱いのでプライマー依存度が大きい。
           適合プライマーを塗り忘れるとすぐに剥がれるよ。

シリコーンシーリング
           熱に強くて非常に耐久性に優れた商品なのですが致命的な欠点は硬くてせん断
           強度に欠けると言う事です。
           昔セロファンという紙かありましたが、この紙は傷が付くとそこからすぐに裂
           けていくと言う事がありましたがこの性格と同じ欠点です。
           ムーブメントがある目地には使えません。
           殆どガラス目地に使われていますね。10030合格品
           2成分型は柔らかいのですが数年経ってからシーリング材から油が流れ出して
           建物の目地周辺が汚れてしまいます。

 皆さん方のマンションの目地のシーリング材はどれを使用しているのでしょうね。
 タイル目地で2年ほどで表面が白くなって微細なひび割れがあればそれはウレタンシーリング材です。
 
 変性シリコーンならいいのですが。

 長年、ゴムメーカー勤務でシーリング材担当でしたからひょっとしたら専門と言えますかね。
 
 一気に書きましたがおかげで懐かしい思いがします。