写真は100㎜厚さのALC版の角部分のひび割れに注入している状況です。
ALC版のひび割れた内部は独立した発泡した穴が繋がっていますから、入っていくエポキシ樹脂はコンクリートの場合に比べ倍以上の量が必要です。
建築中のS造の中層(14F)の建物ですがひび割れはコンクリート部分も含めて僅か1M程しかないのですが現場の所長はどうしても注入したいとのことで注入をしています。
こんなに風にどんな細かい事も見逃さないで慎重に建物を建てる所長さんならさぞかしいい建物作りができるのではと思います。
こちらも応援したくなります。
防水剤を塗布しておけばいいだろうというようなことでは気がすまないのだそうです。
建物作りにはこんな真剣さが必要なのです。
古い建物の大規模改修工事で最近良く見かける工法にピンネット工法というのがあります。
色々と意見はあるのでしょうが、私はこの工法は目先だけの簡易工法のような気がします。
大丈夫なのかと不安になります。
この工法は外壁のコンクリートに付けたモルタルとかタイルの上にホリエステルのネットをピンで留めて
その上に直接樹脂モルタルを塗ってその上に仕上げ材を塗布して完成となります。
浮いているタイルとかモルタルは一応は注入するのですがその上にモルタルをつけて仕上げとなります
もともと現在のタイルとかモルタルの浮き注入補修工法には確実性がないと言われているのに、その上に更に重量があるモルタルを付けるのだからこんな工法でいいのかと不安になるのが当然でしょう。
タイルの浮きは安全の確実性ならそのタイルを撤去して貼り直すか、もしくはタイルの真ん中に穴を空けてアンカーピンで固定して更に樹脂を注入するのが常識なのに。
浮いているタイル等のその上に新たにモルタルで隠してしまうのですからほんとかょ・・・と言いたくなります。
かなり前に九州地区でそのモルタルの落下事故があってからはこの工法は淘汰されたと思っていたら最近また出てきていますね。
何か改良したのでしょうか。
なにもそんな事までしなくてもタイルなら剥がして新しく貼るとか、完全に撤去して再度モルタル仕上げにするとか、どうして確実性のある方法を選定をしないのでしょうか。
安くするのも一つの方法かも知れないけれど安ければ当然利益も少ないでしょうに。
安いのが優先する改修工事でいいのでしょうかね。
東京では大規模改修が盛んですがその元請は残念ながらいわゆるゼネコンは少ないのです。
デベロッパーであったり改修専門の施工会社が殆どなのです。
マンション専門のデベロッパーには確かに一級建築士が沢山いますがそんな人ばかり揃えても本当に現場の事がわかっているのでしょうか。
大手建設会社のように研究所の中で例えば注入の器具を実験したり新製品、工法を検証しているのでしょうか。
積み重ねの技術はあるのでしょうか。
新築の建物は建築会社に改修工事は改修専門の施工会社に丸投げだもんね。