低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

安くて高性能の製品だからといっても必ずしも売れるとは限りませんが

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写真はつくば市の国・・・省の・建物の改修工事です。
梁部分にフロッグで注入しています。

超低粘度の樹脂を推定量の倍程を注入しています。
天井の裏側に多少樹脂が溢れても殆ど問題はありませんので余分に樹脂を注入します。
裏側に機器があるとか配線があるとかの場合は推定量で納めますが、なんにも問題が発生しない場合は出来るだけ余分に注入をします。

数年前に大手の設計事務所の担当者が低圧樹脂注入は下からは絶対に注入できないと怒って一度注入したところを上からやり直しと言う事で大騒ぎしたことがありました。

建築会社も絶対と言えるかなんて言われて、私の方にもう一度上の階の床から注入するということで指示がありました。
私は天井から注入しても樹脂は廻っていると思うけど絶対と言われると自信が揺らぎます。

そこで階上の床のフローリングを剥がしてやり直しと言う事になりました。
数日後、約束の時間にその部屋に行くと若い設計事務所の担当者が私に目礼をしてそそくさと帰って行きました。

フローリングは既に剥がしてあったのですが、そこにはひび割れに沿ってかなりの量のエポキシ樹脂が溢れていたのです。

内心ほっとしましたね。

樹脂を入れるときに確かにかなりの量が入っていったので多分大丈夫だとは思っていたのですが絶対かと言われると・・・強気にはなれませんもんね、普通は。

建設会社の方は謝っていましたが、かえって恐縮です。
この若い大手の設計事務所の担当者にとっては今までできないと思っていた事が出来ていたのでびっくりされたと思うのでしょうが、私にとっては低圧注入の効果に共有化してもらえたのではと逆に感謝の気持ちでした。

その建物は都内の繁華街にある高級マンションでしたから階上の方には工事期間中は近くの一流ホテルを取って移動してもらったのですがその費用はかなりの金額だったと思います。

当然その負担は建築会社が負担したのですが仕方が無いですね、相手の設計事務所ははお得意様なのですから・・。


 話は変わりますが安くて高性能の製品が必ずしも爆発的には売れないということについてこんな例があります。

15年ほど前にソニーの盛田会長がテレビで思い出話をしていたのですが、その話が非常に印象的だったので今回のフロッグと絡めて話します。

1980年代に日本の電化製品、車などがヨーロッパの国々でバッシングを受けて不買運動となっていった時の話なのです。

不買運動の原因は日本製品は安くて高機能だからという理由なのです。

盛田会長は最初は理解できないと思ったそうです。
安くて優れた商品を提供してどうして怒られるのだろう・・。
そのために我々は努力しているのに。

その理由は当時の日本人では考えも付かない事だったのです。

こういうことです。
日本の製品は安くて、優れている商品だから問題なのです。
ヨーロッパのメーカーが競合して打ち勝つとすればその国のの文化をも犠牲にして製品造りをしなければ勝てません。

夏の休暇も日本人のように3日間程度として、給与も低賃金にして、家族を犠牲にして毎日残業をして、そんな日本人の生活様式と同じにしなければ安い商品は出来上がりません。

長い間の生活様式も、のんびりした文化も犠牲にして競合する事が正しい事なのか・・・と言う事がバッシングの理由だったのです。

立場を替えると理解できますね。

私自身長い間ゴムメーカーに勤務していたのですが入社した頃は靴メーカーとしての知名度が高かったのですが、今はその生産は殆ど中国、韓国に依頼しています。
将来には靴のような完成度の高い労働集約産業にあるものは中国、韓国、台湾、インドネシアなどに替わっていくでしょう。

日本で作っていても労働価値の違いで価格があわないでしょう。
靴のメーカーの社員だけ安い賃金でとはいきませんからね。

今はナショナルブランドのナイキとかプーマなどの世界的な製品は殆ど中国、韓国で生産しているのでその技術さえもなかなかのものに育っていると思います。

日本だってこのような国の製品と競合はしないしできませんからね。

話は戻りますが、この安くて高性能の商品が最初はこんな理由からなかなかスムーズには行かなかったのですが、でもその不安は短期的な出来事で終わったそうです。

自由主義経済では国によっての規制には限度がありますから結局は消費者の意思に左右される事となりますから、やはり安くて高性能な商品は徐々に浸透していったのだそうです。

フロッグについても同業者からは色々と批判があるようですが、ひび割れ注入工事は極端に言えば建物の将来の重大事故に拘わっている製品造りなのだということを忘れないでいようと思います。

注ぎ足し機能によって柔らかい樹脂を入れたら必ず次の硬さの樹脂を入れるなどの充分な注入が必要です。
一度きりの注入では内部に巣穴があつたり広がっていたりでせっかくの樹脂が不足したり、流下したりしてそれは完璧な作業にはたどり着けません。