低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

ひび割れの注入工事は本当に大丈夫?

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今回と次回は他社の低圧樹脂注入器具の評価を報告します。
偏見が無いように書きたいと思います。

今回はシリンダー工法と言われている製品を取り上げます。
見解はあくまでも現場で行なわれている方法を見ての考察です。

写真の製品は左側の製品と右側の製品では製造会社はそれぞれに違います。
右側の製品は最近造られた商品で左側の製品は30年も前から製造販売されている比較的占有率が高い製品です。

右側の製品は部品に至るまで左側の製品に殆ど似ている類似商品です。

日本の会社ではこのように全く酷似したような類似商品造りは行ないませんが、驚く事にこの類似製品はは上場企業の製品なのです。
こんなに露骨に似た製品を造って販売している事を社内ではどう評価しているのでしょうね。
一部の部所しか知らないのでしょう。

左側の製品についてはかなりな占有率を持った製品なので現場でも時々は見かけます。
この製品について、その性能などについて報告しましょう。

この製品の使い方は次のような方法です。

1,ひび割れの上に台座のみを取り付けてその間をシールします。
 (この器具は医療用の注射器とその構造は同じです)
2,シリンダー器具に樹脂を吸い上げて台座に取り付ける(圧力は輪ゴムを取り付ける)
3,本来ならば台座の数量だけシリンダー器具を取り付けるはずですが価格を引き下げる為に一度取り付け たシリンダー器具を適当な時間を経過した後に取り外し次の台座の所に付け直す。

このような方法が一般に使用されているようです。

この方法ではひび割れの中に確実に樹脂が入る可能性が非常に少ないと思います。

その問題点は次のような事です。
1,ひび割れの注入は自動式低圧樹脂注入と表現されるように時間を掛けて低い圧力で長時間を掛けて注入 するというのが基本的な方法なのに、こんな風に圧力を掛けても直ぐに取り外しして器具を使いまわし をしてしまうと時間を掛けて入るような事はなくなります。
 
 それに樹脂が入ってしまって器具の中が空になった場合はそれで終わりなのでしょうか。
 ひび割れの中に巣穴が有った場合はその中には充填は不完全になります。

2,ひび割れの幅にはそれに合った樹脂の硬さが決まっていますのでこの工法ではたまたまひび割れ幅に合 った樹脂の場合のみ注入できるという不確定なものとなります。 
 この器具は元々樹脂の注ぎ足し機能が無いので色々な幅があるひび割れ注入には基本的に欠陥製品では ないかと思います。
 
3,ひび割れ幅が1㎜ぐらいの大きな幅になるといわゆるグリス状の硬さの樹脂を入れなければせっかく入 れた柔らかい樹脂は殆ど下のほうに流れ出してしまいます。
 この器具の場合はシリンダーの径に較べて吐出口があまりにも小さい為にグリス状のように硬くなると 押し出しができません。
 
 例を言えば医療用の注射器にマヨネーズを入れて針の先から押し出そうとしても絶対に吐出はできませ
 ん。
 つまりこのシリンダー器具は硬い樹脂は注入は出来ないという製品です。

以上がこの製品の能力の評価です。

コンクリートのひび割れは一本のひび割れでも端から端まではその幅の大きさは決して一定ではありません。

端の方は0.1㎜で真ん中は0.5㎜そして端の方は0.3㎜などと幅には広い所と狭い所があります。
そしてひび割れの中にはエフロとかカビが発生していたりで抵抗があり樹脂が入るには簡単ではありません。

だからこそ最初の注入は水に近い浸透性の良い超低粘度の樹脂を入れるのです。
それが減ったら今度は次の硬さの樹脂を追加注入するのです。
このように樹脂の硬さを替えながら注ぎ足し注入を繰り返しながらしなければスムーズに確実な注入はできません。

このようにはできない問題が有る商品なのに更には安くする為に使い回しをするような事を平気で施工している業界。
未だに器具メーカーも施工業者も未成熟なのです。

極端に未熟な施工業者は何が問題なのかもわからないようです。
器具を取り付けて言われたままの作業で良いと思っているらしいのです。
ひび割れの中に樹脂が入らない場合はそれはそれで仕方がないのだと考えているようです。
(樹脂が入らないのならお金を返金すべきでは?)

目的はひび割れの中に樹脂を入れて固定する事が大切なのに器具を取り付ける事が大切と思っているようです。

器具の廻りから注入した樹脂が漏れだしていても全く気にしない施工現場はこのシリンダー工法の器具を使用している工事店に多く見られます。
樹脂は押されてひび割れの中に入る訳ですからひび割れ幅よりも台座周りに大きな隙間があれば全てその隙間から流れ出してしまうでしょう。

液漏れは落第点です。
仮止めシール材をヘラで漏れないように押さえる作業そのものを知らないのですから話にもなりません。

問題があっても尚且つ使われているのは何故なのでしょう。
更にはこれ程不完全な商品なのに最近になって類似商品を造って販売している会社はどうしてなのでしょう。

それは現場の注入工事というものを全く理解していないのでしょう。
実験室で画題に隙間を作って注入するだけで判定して満足しているからなのだと思います。
そしてなによりも注入の結果が見えないし、解らないからそのように問題があっても平気なのでしょう。
入る、入らないは自分達のせいではなくひび割れのせいと思っているのでしょうね。

例外的にひび割れの中に本当に入っているのか否かを検査する場合がありますが、これについてもひび割れが比較的大きく施工時に樹脂が入ったという箇所を選んで検査官と馴れ合いでコア抜きをしますから取り敢えずは合格になります。

対価に値しません。

ただ救いはこの器具は専門店もしくは技術が優れている施工店は殆ど使っていません。
優れた技術の施工店は注ぎ足し機能が付いた使い捨ての安価な器具を使用しています。
それで多少は救いがあります。

対価に値する仕事でなければいずれはこの仕事は淘汰されてしまいます。


もう少し勉強してください。

僕も勉強しますです。ハイ・・。