低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

各社の低圧注入器具の比較

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今回は国内の各社で造っている低圧注入器具を紹介します。

既に前に数回の報告をしていますが確認も含めて再度報告します。

くれぐれも誤解の無いようにして下さい。決して他社の製品の中傷、悪意での批判ではありません。

新製品については各社とも前回の報告の時から器具の機能、形などで改良したとかいわゆるモデルチェン

ジをした様子は無いようです。

フロッグの場合は昨年に念願の、床、壁用の新型を造り発売を始めました。

他社の製品については、改良の必要はないと考えているのか、もしくは改良を考えるほど需要が多くはな

いのかも知れません。

政府の経済支援策の耐震構造の改修計画支援についてもまだ本格的には動いてはいないようだし、建築は

特に冷え込んでいますからね。


写真は市場で見かける低圧注入器具ですがこのほかにもゴム風船のように膨らませて樹脂を押し入れる形

式の製品が2品種あります。

その他にも土木現場以外では殆ど見ないような複雑な構造の低圧注入器具があります。

どうしてこんなに複雑に造る必要があったのかと不思議に思うほどに精密機械のようなものもあります。


低圧注入器具の目的は非常に簡単です。

それは、ひび割れた隙間に接着剤を確実に充填する事にあります。

その目的達成なら特に低圧工法でなくてもいいのです。

今は、微細なひび割れの中に樹脂を入れるには小さな力で樹脂を押し入れるという方法が一番有効だから

と言う事で低圧工法が行なわれているのです。

ひょっとすると、将来は超高圧のようなものとか静電気によるものとか今では考えが付かないものが開発

されるかもしれません。


以下、製品の特徴などを

上の写真の左端が当店の汎用型のフロッグですが、圧力は器具の中に注入した時に発生する圧搾空気の力

を利用しています。

その横隣の製品も同様に圧搾空気を利用しています。

この二つの製品は樹脂の注ぎ足しを行うことを前提に造られていますから注入口は逆止弁構造となってい

ます。

特徴は簡単に樹脂の注ぎ足しができると言う事と、硬い樹脂を入れる時、またはコンクリートの厚さが1m

を超えるような場合に必要な高い圧力が簡単に作り出す事ができます。

器具の中の樹脂の量を増やす事によって最大20~30㎏までの押し圧を得る事が出来ます。

0.6㎜以上の大きなひび割れにも、注入後樹脂が流下しないような硬いグリス状の樹脂を注入する事がで

きます。


下の丸い形の製品は台座をプラスチックで成型し表面は薄いゴムで造られています。

注入口はテニスボールの空気入れの口のように柔らかいゴムでできています。

樹脂を注入すると表面のゴムが膨らみます。

その膨らんだゴムの戻る力で樹脂を押し入れるという方法です。

特徴は樹脂の吐出口が細長くなっていて取り付け時に目を潰さないと言う利点がありますが、その分台座

に仮止シールが少なくなりますから樹脂が漏れやすいと言うことがあります。

慣れが必要です。

樹脂を入れすぎるとゴムが破裂しますからガイド以上には入れないように気をつけましょう。

硬い樹脂は破裂するのではと不安がありますから私は経験した事がありません。

圧力の力は大丈夫なのでしょうか。

この製品の場合は半円形のゴムの膨らみの戻る力ですからゴム風船型のように全体のゴム伸縮のものと較

べると多少力不足のような気がしますが、樹脂の注ぎ足しを頻繁に行なえば問題はないと思います。

この製品の注入口は膨らんだゴムの上にあるので注ぎ足しには慎重さが必要です。


下の写真は医療用の注射器の構造と同じです。

ピストンに輪ゴムを引張ってそのゴムの戻る力でシリンダー内の樹脂を押し入れます。

シリンダーの直径は30㎜ですが樹脂の吐出口の先端は4㎜です。

直径30㎜から押して、直径4㎜の口径から樹脂を押し出そうとしますから樹脂に抵抗が発生してしまいま

す。

硬い樹脂は殆ど押し圧は期待できません。

丁度、医療用注射器でマヨネーズのような硬さのものは一切押し出せないと言う機能と似ています。

この製品の特徴は注ぎ足しの機能はありませんから樹脂は直接器具に入れる事ができます。

そのためのポンプなどは必要はありません。

柔らかい樹脂を注入して、次は硬い樹脂を注入などの注ぎ足しの方法はこの器具では無理なようです。

注ぎ足すには台座から器具を外して再度器具に樹脂を入れてから台座にセットすればいいのですが、現実

には器具を外すと圧力が開放されますから直ちに逆流してきてせっかくの樹脂が漏れ出してしまいます。

トンネルの天井などで見かけますが、特に天井面には注ぎ足しはできにくいと思うのですが。



左側の製品はその欠点を補う為に台座に逆止弁を付けています。

良く似ているけどこの部分が差別化の特許だとか。

いずれにしてもこれらの製品は注ぎ足すのには手間がかかりますので、一般的には注ぎ足しは行なわない

と聞いています。



さて・・・。

ひび割れの中に確実に樹脂を接着させそして充填するには次の事が必要となり、器具にもその機能が必要
と言う事なのです。


何故注ぎ足しが必要なのか

接着性
 ひび割れの中はゴミが付着していたりエフロがあったりカビがあったりで接着剤の環境としては決して 良くはありません。
 このような下地でも確実に接着させるには下地処理としてコンクリートに浸透するプライマーが必要で す。
 この問題を解決する為に最初は浸透性の良い超低粘度型エポキシ樹脂の注入が必要なのです

樹脂の滑り
 ひび割れの中に樹脂を入れるときに超低粘度型の樹脂を入れておくと樹脂の滑りが良くなり次の硬さの 樹脂はスムーズに侵入する事が出来ます。
 余分な抵抗が無くなり樹脂の漏れが防げます。

適合性
 ひび割れの幅にはそれに合った硬さの樹脂が必要なのです。
 微細なひび割れ幅にいきなりグリス状の硬さの樹脂を入れようとしても絶対に入りません
 大きなひび割れに(1㎜程度)低粘度型の樹脂を入れた場合は抵抗も無くスムーズに入りますが、樹脂 は時間とともに下のほうへ流れ出していきます。
 そして、ひび割れの幅は決して一定ではありません。
 表面は0.5㎜でも奥の方は0.1㎜なのかもしれません。
 超低粘度から始めるのがベストだと思うのですが。

ひび割れの中の巣穴
 ひび割れの中に巣穴が合った場合には穴埋めのために大量の樹脂を入れる必要があります
 樹脂に抵抗が出来るまで注ぎ足す事が必要です。

空気抜きの機能
 ひび割れが裏側まで貫通していない場合は空気抜きの工法が必要です。
 器具を取り付けていても空気抜きがあれば必要な時に樹脂を移動できます
 また、マンションの隔壁のように裏と表に仮止シールと器具を取り付けてひび割れの中を満杯にする場 合には器具に空気抜きが無ければ汚さないで、そして確実にはできません


真剣にひび割れの注入を思うとまだまだ大事な事が沢山ありますが、今日はここまで。