写真上は注入して5分経過しています。
下の写真は10分経過しています。
時間と共に樹脂が流下(下に流れていく)していくのが解ります。
注入後30分でかなりの樹脂が流下してしまいました。
この画題は透明のガラスと圧縮した板を重ねている物ですが、その隙間は0.3㎜です。
注入しているのはエポキシ樹脂の中では一番柔らかい超低粘度の樹脂です。
この場合には超低粘度の樹脂では柔らかすぎるという事が解ります。
注ぎ足す樹脂は次の硬さの低粘度樹脂が適合樹脂となります。
但しこの画題の場合は片方が滑りやすいそして樹脂が浸透しないガラスですから、実際のコンクリートの場合とは流下の様子はかなり違います。
コンクリートの場合はひび割れた内部の断面の表面が粗面でありこれ程は流下はしません。
この実験で知ってもらいたいのはひび割れの幅に対して樹脂の硬さは適合性があるという事なのです。
せっかく注入した樹脂がその場所に留まらずに下方向へ流れ出してしまっては何の効果もありません。
注入した樹脂がスムーズに入るからといってそれで満足しては困るのです。
樹脂は隙間で留まっていなくてはいけません。
ひび割れ補修に於ける低圧樹脂注入は建物の将来の重大事故防止に有るのですから、ひび割れの中に確実に樹脂を充填しているのかどうかの推察をしながらそして確実に注入する事が大切なのです。
最初は超低粘度の樹脂を入れて、その後にひび割れ幅に合った適合硬さの樹脂を入れるという方法が基本的な方法なのです。
だから何度も言うようですが注ぎ足し機能が無いシリンダー工法と言われる器具では不完全だというのです
ましてや器具を節約する為に注入したら短時間で器具を取り外してそして使いまわしをするような方法では殆ど対価に値する仕事はできません。
低圧注入工法は開発当初は低圧、低速注入工法と言って、樹脂が固まるまでの長い時間を掛けて注入する方法だったのです。
小さな力で長い時間を掛けて押すから微細なひび割れの中でも樹脂は静かに入っていくのです。
注入して10分程度で器具を取り外してそして使いまわしをしている工事店を見ると職人としてそれで本当に良いのかと言いたいですね。
『あぁ、いいよ。どうせ、注入の状況が見えないんだから。何時もこれで通っているもんね・・』
そうなのです。残念ですが現場ではこの程度でも通るのです。
真面目に手間を掛けて注入しても、しなくても貰う費用は一緒なのです。
啓蒙運動が必要なのです。
いい加減に改めないとこの工法は淘汰されていきます。
肝心な低圧注入器具メーカーの団体の協議会はこのような啓蒙運動よりも会員以外のメーカーの器具を中傷して既得権益を守る事に一生懸命ですから・・・ね。
もう少し頑張りましょう。
真面目が一番なのです。ハイ。