低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

なぜ低圧注入工事の専門店が育たないのでしょう

イメージ 1

何故、ひび割れ補修の低圧注入専門工事店が育たないのでしょうか。

日本には低圧樹脂注入工事だけを専門にしている会社は少なく多く見ても数社だと思います。

ひょっとすると低圧注入工事だけで経営している会社は一社も無いかも知れません。

でも、専門ではないけれど、たまに低圧注入を工事をする会社で見ると今度は、他の業界よりも驚くほど多いと思います。

どういうことなのかと説明すると

簡単なシーリング工事のようにホームセンターでカートリッジタイプのシリコーンなどを購入して漏水している箇所などに塗りたくるような工事方法で完了、というような工事に似ています。

この場合は全くの素人から建築関連の職人まで誰もが好き勝手にシーリング工事として行ないます。

僅かな、簡単な工事の場合は専門店に頼むと費用が掛かるし、とりたてて検査も無いから自分でやろうという事だと思います。

しかしシーリング工事の場合は新築工事の場合とか重要な箇所となるとシーリング工事の専門職人が必ず施工をしています。

それは、施工した後の出来栄えが問題になるから専門家でなければ話しにはなりません。

ところが注入工事の場合は施工後の出来栄えが全くわかりませんし、その結果の検査もほとんどありませんから、上記のような感覚で素人に近い人達が施工しているのです。

例え素人に近い人であっても充分にひび割れの中に注入出来ていればそれはそれで許されると思いますが
この工事はそんなに簡単ではありません。

簡単ではない理由の一つに材料の品揃えがあります。

ひび割れ幅にあった樹脂が必ず数種類必要だし、そして下地によっては剥離シール材も数種必要です。

簡単なシーリング工事のようにホームセンターでカートリッジを数本用意すればそれで良いという事ではありません。

もう一つの理由は工事の重要性なのです。

ひび割れによるコンクリートの中性化、漏水など建物の寿命に拘わる仕事なのです。
高速道路の橋桁のひび割れなども土木の雑工事の人達が施工しているのを見るとこれでいいのかと思います。

良いわけは無いですよね。

日本の土木建築の技術については、技能士制度があります。
これは国家資格となっていますが、いわゆる職人さんたちの資格制度で調理師の資格等と同じです。

せめて、この資格者を現場で要求するぐらいの事はして欲しいと思います。

資格を取ったからといって必ずしも無い人に較べてその技能が優れているとは限りませんが、資格を取得するにはそれなりには勉強が必要です。

勉強するということは自己啓発にもなりその仕事に深く拘わるという事です。
経験だけで漫然と仕事をする人よりは優れているのではと思うのですが。

最近つくづく思うのですが。

何故低圧注入工事の専門店が育たないという事についてはその一番の原因は元請の建設会社にあると思うのです。

専門店を自分で探してでも施工させるという意識が全く無いのが一番の原因でしょうね。

殆どの現場では、ひび割れが発生した場合は近くにいる防水店、塗装店、左官屋さん、タイル屋に相談をして、やれる所があれば直ぐに発注するという事が一般的な方法なのです。

普段は殆どしないけれど時間があるからやろうという業種の人がやる事になります。

例えば防水店の場合としても専門ではないから樹脂も、シール材もたまたま在庫があったとしても各種の品揃えはしていないだろうし、現場で必要なものもそのためにわざわざ余分に買い揃える事はしません。

わざわざ余分な物まで買い揃えたら採算が合いません。

あるものでなんとかやろうという事になります。

仕事の結果は、職人さんが終わりました、といえば終わりになるのです。
結果は見えないのですから。

但し例外的に、技能士の要求とか、施工実績の提出とか、結果の検査もするような現場も有るにはあります。
殆ど公的な建物の場合ですが。

低圧注入工事の専門店が育たないのは仕事が無いのではなく、誰にでもできる仕事としている元請が原因でそうなっているのです。

元請の建設会社はそれで簡単に済みますが、建物の施主にとっては対価に値しない工事を押し付けられるという事が考えられます。
たまりませんね。

この構造をなんとか変えたいと頑張っていますが、丁度、大海で鰯が鯨に戦いを仕掛けているようなもので不可能に近いことに立ち向かっているようなようなものなのです。

良い例がありますが、古い写真の複写をする専門店の話しです。

国内にこのような複製、複写をする店は僅か2店だけだそうです。

この2店とも二年先まで仕事が詰まっているそうです。

需要は低圧注入工事に較べれば遥かに少ない筈ですが僅か2店で仕事として成り立っているのだそうです
仕事をして欲しい時に殆どの人がこの専門店を探し出して発注するからこうなったのだそうです。
町の写真屋さんもお客に依頼されたら自分ではやらないで優れたこの専門店を紹介するらしいのです。

いい仕事をして欲しいから自分で探して依頼するのでしょう。

いい具合にこのシステムが出来上がったので、結局は優れた技術が生かされ、依頼する方も優れた良い複写が出来るのだと思います。

 エエー話ゃなぁ・・・泣けるでぇ

低圧注入工事も、いずれ将来は専門家が増えて他の業種のように業種として認められる時は来るとは思いますが、程遠い先のことなのでしょうか。


りそな財団にフロッグの事業に力を貸してくれる技術移転の企業を探してもらっていますが、なかなか無いようです。

話は変わりますが
四川大地震による建物のひび割れについてはどうするのでしょうね。
中国の人は低圧注入という工法は知っているのでしょうか。

低血圧の人に注入して高血圧にする方法ではないですよ。

  メンタンピンドラニ・・マンガンダベェ。