低圧注入工法の問題点を工事現場から報告したいと思います 全国に数少ない低圧注入工事を生業とする専門店への啓蒙も微力ですが広く行いたいと考えています

フロッグの行く先

コンクリートのひび割れ補修の専門です

フロッグの原理はこんなに簡単なのです

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今日は久し振りにフロッグの機能について報告しましょう。

微細なひび割れの中に樹脂を充填するには台風時に外部の隙間から室内へ雨水が浸入する時のような気圧の差を発生させる事が必要です。

その圧力はひび割れの幅によって違ってきますが、公的には1~4㎏の低圧の力が必要だとされています。

各社の器具はその力をゴムの反発力で作り出したり、またはスプリングであったり、コンプレッサーによる圧搾空気などを利用しています。

フロッグの場合は樹脂をフロッグに注入する時に器具内に発生する圧搾空気の力を利用しています。

フロッグの中に樹脂を少量入れるとその圧力は小さくなり、樹脂を沢山入れると圧力は高くなります。

フロッグのMAXラインまで入れると汎用品は2㎏となり、床用は1.5㎏となります。

中圧が必要な場合は、樹脂を限界まで入れるとその圧力は30㎏にもなります。

輪ゴムの収縮の力を使っている器具もありますが、ゴムを利用している器具の場合は強い圧力は利用できません。

例えばコンクリートが厚い壁面とか堰堤、擁壁、基礎部分等に大量に樹脂を注入する場合には中圧(10キ㎏以上)が必要ですがゴムの場合は無理のようです。

フロッグの場合もそうですが空気圧利用タイプの器具の場合はその圧力は自在に作り出せますから、ひび割れ幅が広い時に流下しないためのグリス状のものも平気で注入が可能なのです。

いつも思いますがこんな条件の時に、このゴムタイプの器具を使用している職人さんは一体どうしているのだろうと思います。

昨年に原子力研究所の天井と壁面のひび割れを注入した時に天井面のコンクリートの厚さはなんと1000㎜だったので超低粘度の樹脂を圧力を上げて注入しました。
更に壁面は1200㎜もあったのです。

こんな場合にゴムタイプの場合はどうするのでしょうね。

入らなくても入った事にして済むのならそれでもいいのでしょうが。


写真はフロッグの注入のシステムの方法です。

まずフロッグの注入口はノズルとチューブで構成されています。
ノズルの先端部分の横に穴がありますが注入された樹脂はこの穴からでてきます。

この時にこのノズルにはゴムチューブが被せられていますから、ゴムを押し上げながら樹脂は先端に出て行きます。

この部分は特許となっていますが自転車の空気入れの部分と原理は同じです。
一度入った樹脂とか空気は戻れません。

樹脂がこのノズルから入ると押された樹脂はまずひび割れの中に入ろうとします。

そのまま入ってくれると問題はないのですが微細なひび割れの場合は直ぐには入って行きません。

入らない樹脂はフロッグの中に溜まっていきますが、溜まった樹脂の容積分だけは器具の中にあった空気を圧縮していまます。

樹脂を多く入れるほど中にあつた空気は強く圧縮されていきます。

0.05~0.5㎜幅のひび割れの場合は樹脂をスムーズに入れるには2~3㎏の押す圧力が良いようです。
ひび割れの幅が大きいほど強い圧力でも樹脂は入って行きます。
強いといってもグリスポンプは駄目ですよ、このポンプはワンストロークで出てくる樹脂の圧力は100㎏ほどあります。
こんなに強い圧力では樹脂はひび割れの入り口で反発して戻ってしまいます。

電車の入り口に一度に沢山の人が我先にと入ろうとすると入らないと同じ原理です。
ちゃんと並んで入ってね。

大阪の人は昔は並ばなかったのだけれど今は並んでいるのかなぁ。

低圧注入工法が必要なのは0.05~0.7㎜までだと思います。
1㎜以上のひび割れのばあいは器具を用いないでも中圧程度だったら簡単に樹脂は注入が出来ます。

写真の中のフロッグのタンクに書いている矢印は圧縮された空気が樹脂を押す方向です。

天井の場合には樹脂を下に押すけれども、押された樹脂は上に上がって行きます。
天井の場合は多少多めに圧力を上げた方が樹脂の勢いが良くなります。

天井の場合は超低粘度の樹脂を注入しても流下して他のところには流れ出したりはしません。
ひび割れの中に積み上がって行きますので超低粘度の樹脂の場合が理想的だと思いますね。

一般に低圧注入工事は専門店が殆どいないので、各種の硬さの樹脂を揃えて現場に行くという事が少ないので、ひび割れ幅に合った樹脂で施工するというよりは、樹脂の硬さに合ったひび割れしか注入出来ないという事なのかも知れません。

そんな事は常識では考えられないと言うかも知れませんが、残念ながらこの業界ではこんな事よりももつと単純な事すら常識では無いのです。

夜中にまた激しい雨が降り出して・・・。

止水した建物は大丈夫だろうかと心配です。