写真は築後2年のマンションです。
クロスの表面にミミズが這ったような膨れがありクロスを剥がすと0.1~0.3㎜のひび割れが発生しています。
買った施主は大変な心配のようですが、ひび割れ補修を専門としている我々は決して特殊な事ではなく普段にあることだと思っています。
この感覚の違いが施主にとっては頼りなく物足りない事だと思うのではないかと思います。
施主にとってみれば一生に一度の買い物なのにこんな欠陥製品をどうしてくれるの・・・。
気持は解ります。
ひび割れは入らない方がいいに決まっています。
でも、ひび割れてしまったのです。
前回も報告しましたが、このひび割れの原因は何んなのだと言われてもその原因を究明するには気が遠くなるほど時間がかかります。
最終的には特定の原因の説明はなかなか出来ないのではないかと思います。
建物の設計から始まって施工時の環境、生コンの配合、養生期間、天候、地盤の振動、施工技術などなど
とても簡単に原因をはっきりする事はできません。
ひび割れは鉄筋コンクリートのあり得る事と考え、その原因追求よりもむしろ補修の方法、施工を確実に考えた方が良いと思います。
クレームだから部屋の中のものは一切そのままで邪魔なら自分達で片付けろ。
施工会社でやるべきで終わったら家具は必ず元通りにしろ・・・・・。
なんて施主が多いのですよね。
どっちみち補修するのだから、徹底的にやってくれと施工する人達に協力した方が良いと思うのですが
なかなか・・・・ねっ。
下地がコンクリート粗面で表面が平滑の場合は仮止めシールは速乾タイプのエポキシ系シール材で取り付けシールします。
フロッグへの注入は超低粘度型エポキシ樹脂を注入します。
毎回、超低粘度とか低粘度とか中粘度と言っていますが、ここで解りやすく説明するとしましょう。
超低粘度とはその硬さは100mPa.s(粘性の硬さの単位で国際単位です。以前はcpsと言う単位でした)程度で解りやすく言えば蒸留水の100倍の硬さということです。
この単位の基準となっているのは蒸留水て数値の1が蒸留水となります。
100倍と言う数値は牛乳よりも少し粘度があるという程度です。
低粘度は400mPa.s程度で蒸留水の400倍の硬さで、そうですね天ぷら油より少し硬い程度かな。
中粘度は5000mPa.s程度で蒸留水の5000倍の硬さ、マヨネーズぐらいてすね。
高粘度はグリース油ぐらいの硬さです。
ひび割れの幅によってこの硬さの樹脂を使い分ける事が大切なのです。
微細なひび割れ幅に硬い樹脂は入っていかない事は常識的に理解できますよね。
そしてひび割れ幅が大きいのに水に近い柔らかい樹脂を入れると流れ出してしまいますよね。
こんな常識がこの低圧注入の業界ではなかなか知られていないのです。
ひび割れ幅に適合した硬さの樹脂を注入するのが常識なのですが、殆んどの施工店では低粘度樹脂の一種類しか用意しないし硬さの違う物を注ぎ足すと言う作業をしないのです。
おかしいでしょう・・。
でも現実なのです。あなたのマンションの改修ではどうですか。
何種類かの樹脂を注ぎ足していましたか。
ひび割れの幅は決して一定ではないのですから必ず柔らかいものから硬いものへ注ぎ足さなければ駄目ですよね。
そうしなければひび割れの中には確実に充填はできません。
現実には殆ど注ぎ足しはしませんから充填できない場合が多いのです。
驚きでしょう。
更にはこの低圧注入器具の中には最初から注ぎ足し機能が無い製品があります。
しかもこのような製品が特にマンションの大規模改修では圧倒的に使われているのです。
現場ではこんなにびっくりするような事が平気で行なわれているのは何故でしょう。
注入した結果が見えないことで低圧注入が解っていない兼業の職人に発注しても問題とはならないから
でしょうね。
注射器タイプの器具が多いようですね。
困ったものなのです・・・。