建築途中に基礎部分にひび割れが発生しています。
一般的に住宅の基礎の場合はひび割れの方向は縦方向なのですが、この建物の場合は横方向にひび割れが発生しています。
どうしたのでしょうか。
横の一定の位置にひびが入っていますからひょっとするとコンクリートを打設する時にコンクリートを継ぎ足したのではないかと思います。
通常はこんな事はありませんが、何らかの理由があったのでしょう。
養生の影響での乾燥収縮とは考えにくいですね。
どちらにしろ仕事を受注した我々はひび割れの中に確実に樹脂を充填します。
ひび割れ幅は0.1㎜から0.3㎜ですが、ひび割れは殆ど内側まで貫通しています。
注入する樹脂は、ひび割れ幅は決して一定ではありませんから超低粘度型の柔らかい浸透性の良い樹脂から注入を始めます。
裏側に漏れ出したら、次は少し硬い低粘度型の樹脂を追加注入をします。
フロッグの設計思想はひび割れのなかに確実に樹脂を注入できる事を目的に設計しています。
ひび割れの中は色々な幅に変化している場合があります。
このような場合にも確実に充填できるように注ぎ足しが簡単にできるという機能をもっています。
ひび割れ幅にはそれに適合した硬さの樹脂を注入しないとせっかく注入しても流れ出したり、硬すぎて入らないという事があります。
施工した結果が確認できないと言う事から、いい加減な注入工事をしている現場が多々ありますが場合によっては将来の重大事故の要因となる場合もありますから樹脂を確実に注入する施工をして欲しいですね。
注射器タイプのように注ぎ足し機能が無い器具については、余程の樹脂選定が必要なのですが一般には
樹脂は一種類しか用意しないようです。
このようなメーカーのカタログを見てもひび割れ幅と樹脂の硬さの適合性なんて一言も書いていないので
使用する職人さんもそんな決まりが有るなんて知らないようです。
考えてみれば簡単な事で広い幅のひび割れに水に近い粘度の樹脂を入れたら直ぐに流れ出してしまうと言う事は想像しても理解できる筈です。
逆に微細なひび割れの中にバターのように硬い樹脂は絶対に入らない事は解る筈です。
こんな簡単な事をと思うのですが・・。
昨年の暮れに飛び込みで工務店さんから電話があり、新築の住宅の基礎のひび割れの注入工事の依頼でした。
再度の注入との事・・。
施主が注射器タイプの器具で注入している作業を見ていたそうですが、樹脂は器具から漏れるばかりで
ひび割れの中には入っていないのではないかと不安に思い。
作業が終わってから床下にもぐり確認したら樹脂は全く漏れ出していないので、工務店にも確認して貰い再施工としたそうです。
施主が自分でインターネットで当ブログを探し出して工務店へ指示をしたそうです。
ひび割れの注入は結果が見えない工事ですから、残念ながら余程施主が注意をしていないと場合によってはなんにもならないという事もあるのです。
非常に残念ですが、今はこの低圧注入工事の専門業者が殆どいないのです。
専門業者が育たないシステムになってしまっているのです。
せっかく国家資格の注入技能士制度があるのに、持っている人も居るのに、残念ながら一般の工務店はこのような職人を探してまでは発注はしないのです。
身近な塗装店、防水店に発注するものだから専門になろうとする人に仕事が廻ってこないのです。
毎日の仕事が低圧注入の仕事なら注入について経験も、そして勉強もするでしょう。
更には道具も樹脂も数種類は用意するのでしょう、しかし、たまにしかしない仕事なら道具も樹脂も多く取り揃えて現場に行くということもしない、となっています。
今は、施主が勉強するしかないようです。
自分の大切な財産を守るのですから少しは勉強しましょうよ。
どうせ地震がきたらひび割れが原因とか、注入が不完全だったとかは解る訳は無いから・・・なんて言わせたくないよね。