今日はフロッグの構造と特長について報告しましょう。
フロッグはシンプルな構造で逆止弁のチューブとノズルそして本体の3コで成っています。
素材はポリプロビレンとシリコーンゴムで成型しています。
金属を使うと廃棄する時に分別ができませんのでこの構造には工夫をしています。
この器具は樹脂を注入するときにフロッグの中で発生する圧搾空気を利用して樹脂をひび割れの中に押し入れる構造です。
フロッグの中に圧搾した空気が発生するわけですから樹脂の注入口は空気そして樹脂を漏らす事はできません。
そのためには注入口には逆止弁が必要となります。
正直な所フロッグを造る時にこの部分には一番苦労しました。
自動車などに使用されている潤滑油のグリスを充填するニップルという逆止弁がありますが、この構造は
スプリングと球の組み合わせで比較的簡単な構造で出来上がっています。
フロッグの場合もこのニップルと同じ性能で良いのですが実際に組み合わせてみると空気が漏れ出してしまいますからこのままでは使用できません。
この構造についてはゴムの球を使ったり磁石を使ったりしてみましたがなかなか完璧とはなりません。
同じ低圧注入器具でフロッグと同じように圧搾空気を利用して注入する器具の逆止弁をみるとその構造はとても複雑でこの部分の部品数は10コにもなります。
しかもOリングとかパッキンを使っていますので少しでも成型時の変形があると弁から樹脂などが漏れてしまいます。
兎に角、小さい部品ですから少しのことで漏れたりするらしいのです。
フロッグの開発中にこの部分では行き詰っていたのですが、それこそ寝るときのまどろみのなかで自転車の空気入れ部分に気付いたのです。
ノズルにゴムのチューブを被せるだけでどんなに荷重が掛かっても決して空気は漏れない・・・。
誰が考え出したものかは知りませんが、空気が漏れないなら液体も大丈夫だと翌日にさっそく試作してそ
して実験すると最高の結果でした。
知的所有権については付加価値を持つ形ですから取得となりました。
目から鱗とか岡目八目とかコロンブスの卵とか・・・創りあげると、こんな簡単な事にどうして気が付かなかったとおもいます。
フロッグの逆止弁は確実に樹脂とか空気の漏れは防ぐ事ができます。
しかも低価格で出来上がります。
低価格は部品そのものもそうですが組み立てる時にも簡単ですから手間がかかりません。
次は本体について
本体の素材は何故ポリプロピレンにしたのか、理由は
1,プラスチックの成型は費用の問題からブロー成型品であること。
2,エポキシ樹脂の硬化時に発生する高温にも耐えること。(夏場は100℃を越す)
3,台座を入隅(コーナー)にも使えるように台座を曲げられるような構造にしているために変形維持性
能を持つ事(曲げると折れるでは駄目)
このような理由からポリプロピレンにしたのですが一番の苦労は、ポリプロピレンという素材は殆どの接着剤は接着はしません。
注入時の仮止めシールは接着してくれなければ圧力が抜けてしまいます。
ポリプロビレンを選定の時に大手化学会社の技術の方がそれについては任せてくださいと言ってくれた事で、まさに夢のようですが本来なら接着しない素材がある工夫で接着するように出来たのです。
すごいですね。
知らないところで化学技術はどんどん進んで行っているのですね。
知っていますか? 今の乗用車のバンパーはポリプロピレンが多いのですよ。
異業種の勉強がいかに必要かということです。
今日はここまで。